「あ、ていうかこんなこと言いに来たんじゃなかった」

「そうだよ、まったく政宗が取り乱すから話進まないったら」

「せっかく来てやったのにな」

「ね」

「さっさと用件を言え…っ!」



しばらくの付き合いからこの双子の会話に乗れば自滅するということを経験上理解しているので(それでもキレそうになるのはご愛嬌だ)政宗はギリギリと拳を握った状態で今すぐにでもはち切れそうな理性の糸を必死に繋ぎとめる。

その言葉に双子は口を揃えて
あーと同じ表情、同じ口調で言ったあとその垂れ目気味の瞳を政宗に合わせて一言。



「「辞書貸して」」


ちなみに翔が中国語ので馨が英語のねーと手を出し催促する双子に政宗はついにはぁぁと盛大なため息をつき痛む頭を抑えたままヨロヨロと足をクラスへと向けた。

政宗の思うことはただ一つ。



「(何であれだけの用件を聞くのにこんなに疲れなきゃいけねぇんだよ…)」



理不尽過ぎると、意外に几帳面に整頓されているロッカーから取り出した辞書二冊を双子のもとへと持っていく。



「ほらよ」

「ありがとー」

「どう致しましてー」

「オイ、何で馨が答えてんだ」

「まぁぶっちゃけ電子辞書あるんだけどな」


・・・・・・・・


「……Pardon?」

「電子辞書あるんだって」

「文面の利器って素晴らしいよね」

「………なんでわざわざ借りに来たんだ…?」

「だって」

「そんなの」

「「紙のが見ててカッコイイっしょ」」

「返せてめぇらああああ!!」



近石翔、馨という名の双子が学年でも有名な理由の一つ。



「は?一度貸すと言ったものを返せだってさ馨、どう思う」

「男の風上にも置けないよね翔」

「「男には二言はないもんだ」」

「お前らがいったらすっげぇムカツクんだが…!!」

「カルシウムでもとったら?」

「政宗キレすぎー」

「「短気は損気だよ」」

「どの口が言ってやがるんだAh!?」



それはこの人をおちょくったような態度と口調により独特のペースに巻き込み話す人話す人の勘忍袋の緒をいとも簡単にキレさす天才であるという所からくるもの。


もちろんこの二人が有名になりうる理由によりこの学園に巻き起こっている嵐の原因はまだまだあるのだがその内容はまた後日。



「待ちやがれっツインズ!!」

「待てと言われて」

「待つやつは」

「「いませーんよ政宗くーん」」

「ああぁっ!!うっぜぇええ!!」




「……授業はじまんだけど」



三人が去って行った嵐の現場には壊れたドアと焼け焦げた跡だけが残っていた。





学生よ、青春を謳歌せよ



(何であんな怒ったんだろな政宗)
(とりあえず明日から毎日牛乳届けようよ、瓶2本位)

(Ah?んでMilk…て)
(あんのツインズがあああっ!!)





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