言いたいことが溢れるようにあるというのに、唇の手前で立ち止まって出てこない。こんなにも静かに終わりは来るものだったか。
あのこの隣の
ささめく春よ
about this story
いつだって許されたいことばかりだ
言葉にできても伝わらない感情の海
浅い息で夜に潜る
ちぎれた白昼夢
感傷を喰らうにはおあつらえむきの夜
言葉にできない、いくつかのこと
ぬるい夜じゃ駄目だ
羊の牙を尖らせましょう
水槽のそとで溺れるふたり
柔らかい嘘を愛でるひと
この青さがやがて灰になろうとも
緩やかに朽ちていく夜
あの夜の独りぼっちを照らすのか
傷口を結んでも星座は繋がらない
好きの分だけ憂いておくよ
これを愛と呼ぶなら泣いてしまう
あなたの青さがただ眩しい
砂上の夢を終わらず見ていたかった
君がよく口遊む呪い
溶けたのはあの日の残像
- ナノ -