狼娘物語 | ナノ



「ふぁっ」とこぼれる欠伸をかみ殺しながら欠伸がでると生理的にでてくる涙を僕は拭いた。眠い。果てしなく眠たい。今この瞬間、少しでも気を緩めば倒れて寝てしまいそうなくらい眠い。なぜならば、昨日寝ようと思ったらモヤシの叫び声で寝れなかったのだ。でも、昨日任務がなかった分今日は任務があると思う。朝ごはんは食べないと戦えない。睡眠は電車の中でもいいだろう。今は栄養摂取をするのが先決だ。寝てしまいそうな衝動を抑えて賑わう食堂にたどり着くと、「お次は何かしらー?」と朝っぱらから異様なハイテンションで出迎えられた。

「アラ、花火じゃないー。今日は何食べるのかしら?」

彼(オカマ相手に彼と言っていいのかは微妙だが)の質問に「キツネうどん」と単語で返すと「ちょっとまっててねーん」と相変わらずの女口調で返事をして厨房へ戻っていった。朝からあのテンションか…彼は食堂を見るたびにいつもいるがいったいいつ休息をしているのだろうか?まあ僕には関係のないことなんだけど。
注文した品がやってくるまで暇だ。「眠い」と呟いてみたが、それは更に眠気が襲ってくるだけの逆効果だった。言うんじゃなかったと後の祭だ。そういえば昨日は夢見が最悪で、その後あの叫び声で妨害されたから寝た気がしなかったな。ご飯食べたら指示が出るまで寝ようかな。欠伸を一つして、あたりを見渡すと、一つの修羅場が目にはいった。

「もういっぺん言ってみやがれ、ああっ!!?」
「うるせーな、メシ食ってる時に後ろでメソメソ死んだ奴等の追悼されちゃ、味が不味くなんだよ」

それはファインダーと神田ユウだった。なんとなくその組み合わせで修羅場の内容が理解できた。本当、朝からよくやるよね。

「テメェ…それが殉職した同志に言うセリフか!!俺達探索隊ファインダーはお前らエクソシストの下で命懸けでサポートしてやってるのに…それを…それを…っメシがマズくなるだと――――!!」

怒りを露わにしてファインダーは神田ユウに殴りかかった。だけど相手はエクソシスト。ファインダーとエクソシストでは力の差は歴然としている。簡単に首を取られていた。その様子をぼーっと見ていると「おまたせん」と上機嫌で語尾に音符がつきそうな勢いで渡されたが、神田ユウたちの様子を見て「アラやだわぁ、また喧嘩してるのね〜」とテンションを下げていた。僕はキツネうどんを引き取ってからもう一度さっきの場所を見てみると、そこには先程までは居なかったモヤシが居た。


 
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