狼娘物語 | ナノ



「だいぶ遅くなっちゃいましたね」
「この嵐で汽車が遅れてましたからね……」
「眠い……」

ようやく教団に到着し、僕はうとうとしていた。寝ようと思ったのに、ひたすらアレンが話しかけてくるため、寝れなかった。お喋りな奴嫌いだ。僕の中でお喋りな奴ランキングTOP3(勿論1位2位争いをしているのは兎と巻き毛室長)に入る勢いで話しかけられた。

「もう真夜中だなあ…。回収したイノセンスはどうしたらいいのかな」
「科学班の方なら誰か起きてらっしゃると思いますよ」
「サボり魔室長の所為、残業ばっか」
「そ、そうなんですか。じゃあ、行ってみます」

本当ならアレンに押し付けて部屋に戻りたいけど、行かないと駄目だよね……。一応初任務だって言ってたし。次回からは全部押し付ける気でいるけど…いや、それよりも次回なんて機会を作らないでいただきたいね。欠伸をしながら、階段を上ろうとしたら上からドサッと誰かが降ってきた。

「リナリー!?どうしたんですか!!」

それはリーだった。気付いたアレンは一目散に駆け寄った。俊敏だね。

「も、戻ったか。アレン…花火…」
「リーバーさん!?その傷…何があったんですか!?」
「に、逃げろ……」

アレンの質問を答えず、科学班長は逃げろと言った。少し離れた距離から微かに聞こえてくる機械音に僕は嫌な予感を感じた。そして彼はその予感を裏切らないでくれて、「《コムリン》が来る…」と力なく言った。アレンは「は?」と間抜けな声をあげた。
どこからともなく先程まで小さかった機械音が勢いよく大きな音に変わり、ここに接近してきた。ドカン壁を破壊し現れた巨大なロボット。それを見て科学班長が「来たぁ」と嫌そうな声をあげる。それは壁を破壊しただけじゃ勢いがとまらなく、水に落ちた。

「な、何アレ?何アレ!?」
「二回、言わなくていい」
「なんで花火は冷静なんですか!?」
「慣れ」
「なんですかそれー!!!」

平然と答えると、アレンは突っ込んだ。しょうがないじゃないか、本部にいれば科学班が作る変なものをうじゃうじゃ見るのだから。いや、それは本部じゃなくても共通していることか。

【発…見!リナリー・リー、アレン・ウォーカー、炎狼花火。エクソシスト三名発見】

その巨大なロボットどうやら防水加工済みのようで、水に突っ込んだというのに少しの崩れを見せず僕たちに襲い掛かってきた。

「逃げろ!そいつはエクソシストを狙ってる!!」

その言葉と同時に僕たちは走り出した。


 
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