狼娘物語 | ナノ



ガタンゴトン、ガタンゴトンと不規則ゆれる汽車。正直言って僕は汽車という乗り物が好きではない。一部屋の面積…というより椅子の間隔が狭く、動きにくいのだ。比較的小柄(小さいとはあえて言わない)な僕は一人でいるならば別にいいのだが、誰かと一緒にいるときは最悪だ。そして僕は今、マテールから教団へ戻るためにその最悪な状況で汽車に乗っている。でも、なんでモヤシと向かい合って同士座らないとダメなんだろ……?

「(き、気まずい!!)あの!!」
「……?」

いきなり声を上げたモヤシを僕は見た。しかし、話すことは決まっていなかったようで「えっと、あの……(何を言えばいいんだー!?)」としろどもどろになっていた。コイツはいったい何がしたいんだ。

「花火はなんでエクソシストになったんですか?」
「…君、関係、ない。名前、気安く呼ぶな」
「す、すみません……」

会話が終了した。なんでどいつもこいつも馴れ馴れしく名前で呼ぶのさ、苗字だってあるのに。代表的なのが室長とその妹、そして科学班員と兎だ。全く、本当に馴れ馴れしい。ため息を一つ零したら、モヤシが肩をビクリと震わせた。……そこまで怯えるものなの?


 
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