狼娘物語 | ナノ



「勝って嬉しい 花一匁」
「負けて悔しい 花一匁」

「かごめかごめ」
「籠のなかの鳥は」

「通りゃんせ 通りゃんせ」
「ここはどこの 細通じゃ」

扉をくぐって広まる景色は小さな子供たちがわらべ歌を歌いながら遊んでいる村だった。わらべ歌というのは東洋……というか、江戸に伝わる古くからの歌で西洋のほうで過ごしていたほとんどの者が?を浮かべて傾げている。もちろん、言葉が日本語だからというのもある。「ここ、なんでしょう?」とアレンが口を開いた。もちろん、その答えを分かるものはいない……僕を除いて。

「てめえ、さっさと死ねよ!!」

ドスのきかせた怒鳴り声で、皆は一瞬にして振り返る。そこには石をもった複数の者がなにかを囲っている。老若男女、大人も子供も関係なく蔑むような、憎むような目つきで睨み、石を投げつける。「なにしてるんですか!!」アレンがいてもたってもいれなくなったようで、気づけばそれを助けに行っていた。「邦人じゃ……」「なんと……」と反応をみせた。つまり、ここに存在している人間は僕たちが見えるのだ。

「よってたかって小さい子をなんで虐めているのですか!」
「異国の者は黙っていなされ。これは村の問題じゃ」

怒りに震えて、アレンは「な……っ」と言葉になっていなかった。頭に血をのぼらせすぎだ。服の裾をぐいっと引っ張り「全部、ロードによる幻」と言って落ち着けさせる。それでも、優しいアレンは腸煮えくり返っている様子だ。

「ねえ、村人さん」
「なんじゃ?」
「一つ、言っておくけどさ。あんまりこういうことしないほうがいいよ。
──何が憑いてるかわかんないからね」

目を細めて村人に忠告する。裏にのせた意味をきっちり読み取った村人はビクッと肩を震わせる。それを見た僕はニタリと笑った。「ひぃっ」情けない声をあげて、村人は逃げ去った。


 
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