「ん……っ」
目を覚ましてすぐに目にはいったのは、復活したイノセンスで戦うアレンの映像を映し出したモニターだった。上手く回転しない頭で状況を整理した。侵入してきたAKUMAをきっかけに、僕とアレンのイノセンスは対アクマ武器として復活をとげた。それで二体のAKUMAを破壊した。OK、簡単だがわかった。本当に簡単だけど頭のなかでまとめていると「起きたみたいだな」バクさんに声をかけられた。
「身体は大丈夫か?」 「眠気以外すこぶる好調」 「そうか。それはよかった」
その答えに安心したのか、バクさんはホッと息を吐いた。僕の起床に気づいたアレンが「花火、起きたんですね!」と反応した。寝起きにこの高いテンションを相手にするのは疲れる。できることなら二度寝したい気分だ。でも、そんなことも言ってられないと思うから「ん、」と返事をしておく。
「左腕……」 「まだ少し感覚がボケてますが大丈夫ですよ」
違う。僕はそういうことを聞きたかったのではない。左腕が以前より結合してるんじゃないか、って聞きたかったのだ。寄生型は結合すればするだけイノセンスの力をフルに使えるメリットがあるが、その分デメリットもあるんだ。ハイリスクハイリターンだ。アレンの左腕をみつめていると「なんや、辛気臭い顔しとるな」と上からズシッと重みがかかり、声が聞こえた。
「……ここ、確か支部長とかのお偉いさん以外立ち入り禁止」 「ははは。細かいこと気にしたらあかんで」
絶対細かいことじゃないと思う。その証拠にバクさんが「なに勝手にはいってきてるんだ!」と怒っている。さすがは支部長というだけあって威厳がある。しかし、相手が悪かった。怒られている本人は「そんなカッカしたらあかんやろ」とヘラヘラ笑っているのだ。ため息を吐きながら「重い」と悪態をつく。「悪い、悪い」と笑いながら僕にのしかかるのをやめて、僕が座るソファーの隣に座ってきた。
「あ、そうや。忘れるところやったわあ」 「なにを」 「ほい。花火、フォーさん助けにゆこうしたとき狼我落としたやろ」
ポンッと膝の上に置かれた狼我。あのときはいろいろ必死だったから忘れてたんだ。なくさなくて、よかった。愛おし気にぎゅうっと狼我を抱きしめて「ありがと」とお礼を言う。それに対して彼は「へへ。どーたしまして」ポンポン僕の頭を優しく叩きながら笑った。なんて、居心地がよいのだろうか。が、だからといって見逃すわけにはいかない。
「はい、ほのぼのタイム終了」 「はやっ!もう終るん!?」 「なんでキミがここにいるのか、詳しく簡潔に説明して」 「詳しくか簡潔かどっちや!」 「時間ないんだから、早く」
せかすように言えば、「相変わらずせっかちやなあ」と困ったように頭を掻いた。「えっと、質問したいんですけど……」状況がわかっていないアレンが、聞いていいのかどうか戸惑いながら声をかけてきた。そうだね、さきにそれを説明すべきだね。
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