「……疲れた」
アレンのイノセンスの粒子が空気中全体に散らばっている修練場で僕は大の字になって倒れる。息切れが激しくて胸の上下が激しい。あのていどで息切れするのだから、あの傷は相当身体にキてるみたいだ。しばらく動きたくないなー。ボーッと天井をみていると「花火!?」とアレンの驚く声が聞こえた。
「なに、もう休憩を終えてイノセンスの復活始めるの?」 「は、はい。……ってか、なんで倒れてるんですか!?」 「フォーと、やりあってて……」
喋るのが面倒になって、息を深く吐く。視界になにかをいれるのも疲れるので 目を閉じた。あー、やばい。疲れすぎて動きたくない。もう、このまま寝れる気がする。イノセンスを使わずに、しかも身体が万全じゃないのにフォーと戦うなんて無謀すぎた。いくら強くなるためだからって、休むということを考えるべきだった。
「ごめん、当分動けないと思う」 「あ、それはいいですけど……花火」 「なに?」 「なにか、あったんですか?」 「なにかって」 「ここにきてから……いえ、アニタさんと会ってから様子が違うというか、なんというか……」
片目だけ開けてアレンの様子を窺えば、右腕で頭をかきながら「まとまってなくてすみません……」と謝ってきた。「別に、謝らなくていい」息を吐く。よし、そろそろ息はととのった。お腹に力をこめてグンッと身体を飛び起こす。腕を上にあげてグッと身体を伸ばす。身体を捻じればポキポキと音が鳴った。「痛く、ない」イノセンスによって身体の内部が痛むこともない。フォーとの戦闘によってできた傷から痛みも感じない。大丈夫、イノセンスによる治癒の速さは通常の身体と同じだ。……いや、前よりも速くなっている気もする。それに満足した僕はグッと拳を握り、くるっとアレンのほうを見る。
「どうか、しました?」 「ちょっと、組み手しようか」 「へ!?でも、花火は怪我を……うわっ!」
返事を待たずに、僕はアレンに攻撃をしかける。慌てて回避したアレンは「ちょ、ま、え!?」とあたふたしている。
「同じ相手ばかりだとパターン一緒になるでしょ?たまには息抜きに違う相手もやってみようよ」 (花火が生き生きしてるけど状況があっ!!)
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