「僕のイノセンスは、確かにヨーヨーの形をした炎架だけど、本当の姿はあれじゃない」 「えっと、つまりどういうことですか?」 「君はヘブラスかの検査で装備型のイノセンスと確認されているはずだったな」
アレンと支部長が首をかしげるからどう説明すればいいか悩んだ。助けるような目でフォーを見るが「ありのまま話せばいいだろ」と冷たい返事。本当は、この場で発動することができれば楽なのだが、今の身体じゃ危険だろう。もうちょっと回復してからじゃないと。説明する内容を腕を組んで考えていると、フォーが「花火は本来装備型じゃなくて寄生型なんだよ」と助け舟をだしてくれた。なんだかんだで、助けてくれるフォーは優しいよね。
「え、花火って寄生型なんですか!?」 「アレンみたいな左腕とか目立った場所じゃないけどね」 「しかし、それならヘブラスカの時点でわかるんじゃ?コムイからはなにも聞いてないぞ」 「炎架は僕の身体からできたもので、イノセンスの一部であるにはかぎらないからシンクロ率はそのまま測れた……んだと思う」
そこらへんはよくわからない。でも、装備型のように見えるあのイノセンスは人為的に科学班の人とかが手を加えたわけでなく、僕の発動により造られたものなのだ。アレンが「どこに、寄生されてるのですか?」と手を挙げて質問する。いったいいつから、挙手制になったのだ。人差し指をたてて、自分の左胸にあてる。それから「心臓」と平仮名四文字、漢字にすれば二文字の実に簡単な答え。
「ようするに、こいつのイノセンスは心臓に寄生してあって、そこからできあがる血液はすべてイノセンスの影響をうけている。つまり、炎架は花火の血によってできた武器ってわけだ。……本当になにも説明してなかったんだな」 「聞かれなかったから」 「でも、花火って小食ですよね?寄生型はエネルギー消耗が激しいじゃないですか」 「その分、こいつ睡眠時間長いだろ。ほっとけば寝てる」
僕のイノセンスは心臓に寄生している。だから、人よりも何倍も早く治癒されるし、臓器に穴があけられたところで体内のイノセンスが真っ先に治療してくれる。心臓を武器にするわけにはいかないが、心臓は血液ポンプのようなものだ。そこから流れる血液はイノセンスの影響が及んで同等の力を得る。僕の血液から武器は生成されるため、一見装備型に見える。これは、イノセンスの破壊目的の奴らに対してのカモフラージュになるし、盗られたり、破壊されてもなんのダメージもない。再び造る消耗は激しいけど。それより問題なのは、『イノセンスの破壊=死』に繋がることが臓器の穴やある程度の致命傷では死なないが、心臓を突かれたな死亡確定なのだ。ハイリスクハイリターン。だから、僕はイノセンスについてあまり話さないようにしている。
「ということだから、早く左腕治して」 「わかりました」
僕たちは、立ち止まっていられないでしょう。そういう意をこめて言えば、アレンも答えるように頷いた。彼が回復するあいだに、僕も身体を万全にしてイノセンスを生成しておくとしよう。
それまで、お世話になります (ところで、花火とフォーは知り合いなんですか?) (いろいろ……) (そうなんですか) (おい、花火。あとで話があるからあとできな) (……わかった)
←
▼MENU
| |