「痛い、痛い、痛いって!フォー、痛いよっ!」 「うるせえっ!テメェ、目覚ましたなら真っ先にあたしに挨拶と礼をすんのが常識だろ!」 「ごめん、ごめん、ごめんなさいっ!ここまで運んでくれてありがとうございました!」
なりふりかまっていられなかった。アレンとか、支部長とか、みるからに新米そうな科学班の人がいるけど、かまっていられなかった。痛みに涙目になりつつ、手を合わせて謝る。しばらくして、ようやく気が済んだのか手をはなしてくれた。
「怪我人に、酷い……」 「医師の許可なくふらつきまわる怪我人は怪我人扱いしねえ」 「……だったら、早く僕の団服返して」 「しばらく安静だ。お前に今団服返したら独断で江戸に行くだろ」 「当たり前」 「臓器の穴が治っていたとしても、ウォーカーの左腕が治るまで待機だ」
言われた意味がわからなくて、きょとんとする。それは、アレンの腕が治る可能性があるということなのだろうか?いや、そうしてもらえないと困るんだけどさ。確かに、今行動したところで、足手まといにしかならないだろうし、第一手段がなにもない。フォーの目つきもぎらぎらで怖かったので、しぶしぶ「……わかった」と同意しておく。
「ちょ、まってください!花火はもう戦えないでしょ!」 「そうだ。君はイノセンスがノアによって破壊されたようではないか」
アレンと支部長の制止に、フォーが「は、お前ら何言ってるんだ?」と理解しがたそうな表情をしていた。「フォー。普通に考えろ。装備型の彼女はウォーカーと違って奇跡的なものはない」支部長のいたって常識的な発言に、フォーがぐるんっと首を動かしてこっちを見る。僕はばつが悪くなってアレンの後ろに隠れる。突然のことに「花火!?」と驚いているが、気にしない。怒ったフォーが、クロス師匠の次に怖いのだから。
「花火。お前、どういうことだ?」 「ほ、ほら。敵を騙すにはまず味方から……」 「ほお、へえ、ふうん。どの口で味方とか言ってるんだ?」 「……ゴメンナサイ」
やっぱり、フォーは怖かった。というか、会っていない数年間で磨きがかかっていた。目で語っている。お前がちゃんと自分のイノセンスについて、今ここで説明しろって。……僕はそんなフォーに逆らえるわけでもなく、?を浮かべているアレンたちに説明しだした。
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