長い廊下を歩いている間、重たい空気が流れていた。僕はそういう空気に慣れているから別にいいけど、アレンが異様にそわそわしているのに気になった。ようやく口を開かれたのは「怪我、大丈夫ですか?」と僕を気遣うような言葉だった。「そこそこ」とだけ返しておく。会話が終った。それから数分して、アレンが目指していた修練所に辿り着いた。
「おせーぞ、ウォーカー!」 「す、すみません。道に迷って……」 「ったく……」
修練所にはいった瞬間に浴びた怒号。アレンはすかさず謝った。怒鳴った彼女は、呆れたように頭を掻きながらこっちを見る。そして、僕を見るなり目を大きく見開かせ「お前……」と声を漏らす。バッと目をそらすが、視線がグサグサ刺さる。次、目を合わせたら鬼の形相を見る気がしてむけれない。彼女の代わりに、誰かが「なんで動き回ってるんだ!安静してなきゃ駄目だろ!」と怒った。うるさいな、文句を言おうとして顔をむけた。そして、僕は固まった。ジリッと一歩後退する。「あ……っ」声が震えた。
「ん?顔になにかついているか?」 「あ、う……えっと貴方は……」 「ボクはバク・チャンだ」 「彼は、ここの支部長なんです」
アレンの補足なんてなくたってわかる。チャン家の者だ。……エドガー博士の血族に決まっている。エドガー博士は髪の毛伸びてボサボサだったけど、似ているんだ。「バク。お前はちょっと下がれ」彼女が、僕のことを考えてなのか、彼との距離おいてくれた。そんで、そのままガスッと僕の頭を殴った。「〜〜っ!!」あまりの痛みに、頭をおさえてしゃがみこむ。
「なにすっ…!」 「お前、あそこに行っただろ」 「う……っ」
図星で思い切り顔にだしてしまった。その瞬間、彼女……フォーは顔をクワッとさせて僕の頭をグワシッと掴み、頭をゆすった。
← →
▼MENU
| |