と、まあデイシャとか探索部隊とかの死者云々はおいとこう。今現在、僕たちは中国にいる。中国と大きくひとくくりにしてみたが、細かい詳細をつけるとしたら今、僕たちは中国のとある妓楼の前にいる。ここの港では一番大きな店らしい。 なぜ、未成年の僕たちが妓楼にいるか。そんな理由一つに決まっている。あの馬鹿師匠がここに出現したという情報を得たからだ。これでクロス師匠がつかまる、そう思っている皆はわいわいと輝いている。アレンだけは見つけてしまった…みたいな顔だ。僕はその両者に該当しない。だって、クロス師匠がここに出現してから時間が経っている。中国で一休みして、既に江戸へと旅立っているだろう。
「人が悪い……」
ここは、クロス師匠に恋焦がれた人が教団の協力者となり、命を落とした人のいい例の一つである。そこを再び利用するとは、本当に人が悪い。聖職者じゃないだろ、外道でしょうが。
「花火、行くわよ」 「名前、呼ぶな。……で、どこに?」 「……なにも聞いてなかったのね。裏口からはいるみたいよ」 「あ、そう」
たしかに、未成年がどうどう表口からはいるのはいただけない。店の評判にも関わるからね。
「……できれば、会いたくない」
でも、それでは先に進むことができないから、裏口からはいるとしよう。
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