「オレっすか?」自分を指しながら兎は嫌そうな表情を浮かべた。事の発端はアレンが汽車に乗り遅れたことが原因。ティムはちゃんといるのにあのモヤシはなにをやってるのやら。そんなんでよくクロス師匠の弟子やっていけたよね。
「いいけどさぁ〜、なぁんかヤな予感すんな〜。花火ついてきてくんね?」
兎がちらりと僕を見て頼むが、「ざけんな」口悪く切り捨てた。この状況でアレンを迎えにいくということは兎の槌に乗るということだ。あんなもの誰が率先して乗るか。「ひでぇ!!」と泣き叫ぶ兎をよそに、僕は汽車の中に引き返そうとする。
「え、本気でついてきてくんねーの!?」 「一人、行け」 「うぅ……冷たいさぁ」 「ようやく、アレン、解放。寝る」
アイツは隙あらば僕との距離をつめようと頑張って話しかけてくる。おかげで煩くて睡眠時間が削られっぱなしだ。久しぶりにアイツと離れられたのだから寝る。許される限り寝る。
「兎。アレン、傷物、許さん」 「何故!?」 「正確、アレン、使い物、ならなくなる。許さん」 「たまに思うんだけどよ、花火の単語だけの会話分かりづれぇさ」
兎の文句を放置して僕は汽車の中に戻る。「無視ぃ!?」と叫んでいるが知らない。僕が単語で喋るのは最早キャラだ。というより余計な言葉を入れるのが面倒なだけだ。……元々は単語だけの喋り方じゃなかったけどさ。 まあ、いい。久しぶりにぐっすりと眠ろう。思い立ったらすぐ行動。僕は席に座り、コートのフードを深くかぶって寝た。
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