「……まあ、会うのはしばらく先の話になるかもしんねェけどな」 「どういうことですか?」 「んーオレの予感だけどね…今度の任務はかなり長期のデカイ戦になんじゃねーかな。伯爵が動き出したんだ。 ノア一族の出現てそういうことだろ」 「ノア……」
僕が推測する限りじゃ、あの異次元空間はきっとロードというノアが作ったもの。……つまり、個々のノアが巨大な力を持っているということになる。
「リルは厄介……」
リルはああ見えて策略的だ。敵に回すと厄介だ。そのうえ気に入った者には異常なまでの執着心を見せ、その者に近づく者は自分とその人の間に害をもたらすものと認識し、どんな手段を使っても排除しようとする。そんな子が力を手に入れたというなら余計に面倒だ。
「僕は…アクマを破壊するためにエクソシストになったんだ。人間を殺すためになったんじゃない……」 「でも、ノア倒さないと多くの人間、死ぬ」 「──っ!!」
あの霊の怨念は異常だった。それはきっと、これまでにも沢山人間が死んできた証なのだろう。
「おい?どうした?モヤシ」 「アレンです!!ちょっと歩いてくるんで先戻っててください!」
ズカズカとアレンはどこかへ行ってしまった。「あちゃあ〜〜?やっぱ、ガキだ」と言う兎に対し、僕は無言。まあ、アレンは人間に対しても、AKUMAに対しても優しいからね。しかたがないことだと思うよ。
「……」 「どこいくんさ?」 「アレン、追いかける」 「へ?」 「アレン、現在左目使用不可。極めて危険。追う」
もし、今アクマと遭遇したらほとんどの確立で死ぬ。そんなことされたらクロス師匠に大目玉だ……。金槌だけじゃ済まないかもしれないよ。
「それだけは絶対嫌」 「ふーん…花火はアレンに御執心かー」 「ラビ」 「はい?(花火がオレの名前を素直に呼んだ!?)」
アレンを追う前に僕はどうしても兎に伝えたいことがあった。
「僕、神田ユウ、嫌い。それ以上にガラス玉のようにものを映して心の中に入れようとしない…記録だけのためにヘラヘラと仲間だとか言って近づいてくるラビが大嫌い」
それなら下手に仲間を持とうとしない神田ユウのほうがましだ。それはそれで変に心地よさを感じてしまうので嫌なんだけどね。それはあえて言わないで、僕はアレンを追った。
「……分かりきってたけど花火に嫌われるとキツイさ」
そんな兎の言葉は聞こえないことにした。
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