リーたちが店を出たのを確認してから僕は炎架を一匹のAKUMAに伸ばした。「一般人、ここ居ない。店壊しても問題なし」睡眠不足、羞恥にまみれる行動。その八つ当たりに少しくらい派手に動いてもいいだろう。「色々あります!!」と突っ込みをアレンから受けるが「壊れたら請求教団、僕無関係」それだけ吐き捨て、僕はAKUMAに向って行った。
「《パンクヴォイス》!」 「──っ!」
音波の攻撃に頭痛がして顔を少し歪めるが構わず走る。「煩い……。騒音迷惑」音波の原因であるアクマに炎架を当てると、かなりの距離まで吹っ飛んだ。
「アレン、攻撃馬鹿素直に当たりすぎ。体壊す」 「す、スミマセン……」 「これだから任務、一人がいい」 「花火はそればっかりですね」 「足手まとい、増える」 「花火って冷たく言いますけど、その足手まといを結構助けてますよね」 「……エクソシスト、減少。仕事、増加。別に心配、してない」 「そ、そうですか……(花火ってツンデレなんですかね?)」
そこで会話を途絶えさせ、ジャンケンしてるアクマに容赦なく攻撃した。「何すんだテメェっ!!ジャンケンの隙に攻撃するなんてヒキョーだぞ!!」非難されるが「そんなもん待つワケないでしょ」「敵に情け、ダメ」と僕たちはやれやれと思いながら言う。アレンにいたっては若干黒い。「「「エクソシストブッ殺す!!!」」」逆上したアクマが本気で僕達に攻撃しようとした時だった。
【待て】 「!?」
この場の誰でもない者の声がした。それと同時にアクマが止まった。辺りを見渡しても声の主はどこにもいない。
【楽しそーだねェ。お前らぁイノセンス回収の事忘れてねぇ〜?】 【それに言ったよねぇ?大切な大切な《巫女》を穢すなってぇ】 【【戻れ】】
一瞬でアクマが退いた。でも、僕はそんなことよりもさっきの声の主を疑った。だって、だってあの声は……
「っ…はぁ、はぁ……」
心臓の音が煩いほど早く鳴る。息苦しくなり、思わず僕はしゃがみ込む。「花火!?」アレンが急いで僕のところへ駆けつけた。僕は何か言わないといけないと思ったのか声を出そうとしたが息が続かなく、喋れない。 あの声の主から連想された子を思い出し、そして忌わしの過去を思い出し、恐怖で足が震え、意識も朦朧とする。
「も…無理……」 「花火!?」
限界で僕は前へと倒れた。声が聞こえるのに誰の声が判別が出来ない。ものは見えるのにそれがなんなのか認識できない。何かの感覚はあるのにそれがなんなのか分からない。そんな状態が数分…いや数秒、もっと短いのかもしれない。それでも長いあいだ続いたように感じ、僕の目の前は黒に染まり、無音となり、意識を手放した。
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