狼娘物語 | ナノ



「師匠は"故郷だ。協力して動け。無理をするな"と言ってました」
「故郷……」

つまり、僕が生まれた国。……江戸か。確かにあそこは面積がほどよく狭いから人口密度が密集して棲家にしやすいだろう。協力とは、きっと時の破壊者であるコイツとしろと言ってるはず。無理をするなは……

「つまり、無理をしろ…か……」

無茶苦茶だ。無理をしてでも江戸に来いといいたいのか。しかし、そこで労わるような言葉をかけられたらむしろ怖い。なにか裏がありそうで怖すぎる。

「ねぇ」
「はい」
「僕、仲間、要らない。でも、君に協力しなきゃ駄目……」
「え?」

理解が出来ないのか、首を傾げていた。なんだ、クロス師匠はなにも教えていないのか。まあ教えるはずがないか。時じゃないのだから。そうすると僕の立位置が面倒だ。

「名前、何?」
「アレンです!アレン・ウォーカーです!!」

名前を聞いたら、何故か輝いた顔で言われた。何故そこまで輝かせる。そこまで嬉しいのか。

「ウォーカー……」

最悪だ。フルネームで呼ぼうと思ったら、ウォーカーなんて最悪すぎる……。どうしてもピエロの格好をしたアイツの顔がチラつく。アイツ、性格も微妙にうざったいんだよね。しかもピエロなんて派手な格好してるから忘れたくても忘れられない。

「アレン……」
「はい!」

コイツはコイツで名前で呼べば笑顔だし。ウォーカー繋がりできっと彼等は義理の親子関係なのだろう。血は争えないとよく聞くが、別に血がなくたって似るときは似るんだろうね。うわ、考えたら最悪じゃないか。
クロス師匠も面倒なのを送ったな。いや、この場合は面倒なのか14番目に選ばれたな。のほうが正しいかな。

「さっき、訂正」
「さっき?」
「名前呼ぶなって言うの……。アンタ、苗字で呼ばれる。困る」

僕は自分の一族の血が嫌いだ。お父さんやお母さんは好きだけどこの血の所為で僕は苦しめられた。だからこの苗字が嫌い。でも協力すべき奴に苗字で呼ばれたらやる気が失せる。

「よく分かりませんが、名前で呼んでいいんですね?」

質問に無言で頷いだ。本当に不本意な出来事なのだ。

「(よく分かりませんが、師匠!感謝します!!)花火!」
「……何」
「呼んだだけです!」

……本気でコイツが分からない。これから先、コイツに協力しないといけないと思うと、少し…いや、かなり憂鬱になる。


クロス師匠からの言伝

(僕たち仲間ですね!)
(それ、違う)
(じゃあこれから先花火に仲間と思われるように頑張ります!!)
(……なんで時の破壊者がコイツなんだ……)


 
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