狼娘物語 | ナノ



「そういえば……」珍しく僕から声をかけた。それに驚いたのか「はい?」若干超えを裏返しながらモヤシは目を丸めていた。そこまで驚かれると逆に僕の方が驚きたくなるんだけど。

「へブラスカ、予言……」
「えっと、それは僕の予言を聞いてるんですか?」

首を傾げながら聞いてくるモヤシをみて頷いた。

「僕は《時の破壊者》と言われました」

彼の返事で"時の破壊者"と言われ、僕は驚いて思わずがたんっと音をたてて立った。「ど、どうしたんですか?」驚きながら尋ねられるのをそっちのけで僕は「時の破壊者……」と復唱する。「は、はい。そうですけど……」それがどうかしました?なにか自分がやってしまったのではないかと不安そうにしているコイツを見ながら僕は冷静に思考回路を回す。時の破壊者……本当にコイツが?でもヘブラスカの予言が外れる確立の方が低い。
「はは……」不覚にも笑い声が漏れる。その様子に「大丈夫ですか?」モヤシが心配そうに尋ねてたけど、僕は別のことを考えてた。

「アハハハハハハ……」

我慢できず僕は声を上げて笑い出した。その笑いはどこか乾いたような声だったのは自覚している。

「そっか、そういうことか……」

初めから不思議に思っていた。何故クロス師匠のゴーレムであるティムキャンピーをコイツが持っていたのか。ティムキャンピーは特殊なゴーレムだ。そんじょそこらのエクソシストに渡していいものじゃない。しかし彼は持っている。それは、彼が時の破壊者であるからだ。考えてみれば簡単に辿りつけれることじゃないか。なんで気付かなかったのか。それは僕自身が否定してほしかったからだ。

「はぁ、最悪最低……」

面倒なことになった。なんでよりによってこんなタイプの奴が時の破壊者なんだ。あってほしくないと思ったから考えないようにしてたのに。

「ねぇ、モヤシ……」
「モヤシじゃありません!アレンです!!」
「……クロス師匠から僕への言伝ない?」

予想があっていれば、きっとあるはず。いや、むしろなければ困る。

「(無視された……)言伝、ですか?」
「うん……。僕…じゃなくて《陰陽師》への言伝」
「あ、はい。ありますけど……」
「言って」

クロス師匠が言う陰陽師とはきっと僕のこと。僕以外の陰陽師が教団内にいるなんて知らない。聞いたことがないから十中八九僕のことを指しているはずだ。

「でも師匠は《陰陽師》という人以外には言うなって……」
「それ、僕……」

そう言えば、少し驚いた表情をしてから喋り始めた。



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