「何寝てんだ。しっかり見張ってろ」 「人間、寝るとき、寝る」
寝るなとは不憫だ。人間の三大欲求を禁止する権利なんて誰にももっていないんだよ。今回ばかりはモヤシの肩をもった。
「あれ…?全治五ヶ月の人たちが、なんでこんな所にいるんですか?」 「治った」 「完治じゃない、でも治った……」
回復力は人一倍なの自慢。それでも軽くチートをしている神田ユウに比べればお粗末な回復力だけどね。いや、あれはその分の代償があるからしかたがないことなのだろうけど。
「コムイからの伝達だ。俺はこのまま次の任務にいく。お前等は本部にイノセンスを届けろ」 「わかりました」 「……」
二人の会話を無視して、ジッと無機質に歌い続けるララを僕はみつめた。
「俺たちは《破壊者》だ。《救済者》じゃないんだぜ」
破壊者。でもね、僕たちはAKUMAを破壊することで魂を救ってる……。それは、魂の見える人だけの知る真実なんだよ。 ヒュォォッどこからか風が吹いた。
「歌、止まった……」
それはララが止まったということだ。
ありがとう。壊れるまで歌わせてくれて…これで約束が守れたわ。
幻聴かもしれない、でも確かにララの声が聞こえた。
花火も私を助けてくれてありがとう。貴女は凄く優しいから自分を傷つけて周りを守るのね。
「ちがっ……」
声を出そうと思ったけど、ララが壊れた事実に予想外に傷ついてる自分に驚いて声が出なかった。
私、貴女と友達になってみたかった……。貴女は後悔しないように生きて、笑って……
そこでララの声は消えた。頬になにかが伝った気がした。
「おい?どうした」 「神田…それでも僕は誰かを救える破壊者になりたいです」
その言葉に共感してる自分が何処かにいた。 何かを破壊すれば、それに比例して悲しむ人も居る。でも、同時に救われる人も居る。
私、貴女と友達になってみたかった……
ねぇ、ララ。 僕は独りなる悲しみを感じたくないから、周りを拒絶するんだ。なのにね、貴方と少し話しただけなのに何処か心許してた。
「僕もだよ……」
僕もララと友達になりたかった。それは素直に認めるよ。
500年生きた亡霊の最後
(グゾルは貴方に見られて去っていったから寂しくないよね) (だったら、ララ。君はどうだった……?)
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