狼娘物語 | ナノ



大きな爆発音の原因となるAKUMAのもとにはまだ微かに息をしているファインダー。あれはきっともう助からない。そう思った瞬間、ザッなにかが横切った。横切ったものがなんなのか確認するまでもない。「やめろ!!」そう叫びながらモヤシが一人でAKUMAに突っ込んでいったのだ。それを見て思わず「馬鹿がいる……」と呟いてしまった。
あのAKUMAをみるところ、自我をもっている。おそらくレベル2あたりだろう。対するモヤシはまだエクソシストの成り立て、勝算は少ない。

「本当、面倒……」

開始直後から疲れた……。なんでこうも猪突猛進なのだろうか。少しくらい考えて行動すればいいのに。溜め息をついていると「六幻抜刀」神田ユウも突っ込んでいった。なんかもうどうでもいいや……。戦闘に参戦する前からやる気のないエクソシストなんて失格だ!と非難する人もいるかもしれないけど、今回の戦いは僕にとってはどうでもいいのだ。だってここにAKUMAが集結しようがなんだろうが、一般人はいないのだから。
きっと冷たい考えなんだろうな。自分に対して嘲笑しながら辺りを見渡していると、ぱちんっと結界の中にいる金髪の子と目があった。その子の後ろに大きな人もいる。つまりあの二人のどちらかがイノセンスなんだろう。

「自分の死、無駄嫌なら、結界装置の解除コード、言って」

AKUMAの方は二人がやってるから行く必要ないと。むしろ多くいても邪魔だろう。僕はイノセンスの回収をすべきだろうと考えて結界の近くに居るファインダーに聞いた。

「は…"Have a hope""希望を…持て…"だ!」

ある力を振り絞って解除コードを言うと息をひきとった。「《Have a hope》、ね……」彼等はどんな気持ちでそんなコードをつけたのだろうか。明らかに勝算が低い戦争に希望を持てと?本当、前向きだよね。僕は頭を振って嫌な考えを打ち消してから結界装置を解除し、二人を担ぎ上へ登った。



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