狼娘物語 | ナノ



クロス師匠とリナリーを二人きりにするのは不安で一足早く戻ってきたけど、二人の会話の内容がアニタで、入るに入れなかった。壁にもたれかかりながら耳を傾ける。クロス師匠の声に悲しみが帯びていた。そっと瞼を閉じてアニタの笑顔を浮かべていると、ドタバタとこちらに向かう複数の足音。煩いなあ、思いながら瞼を開けば息切れをしながら石化している四人がいた。

「犯罪です、師匠!!!」
「ち、違うのアレンくん今のは…」
「なんだ馬鹿弟子。16なら立派な女だろうが」
「元帥!」
「その前に自分の年考えろって」
「あー?花火と違って色気のある女相手なら構わないだろ」
「……ロリコン師匠。気持ち悪い」

聞こえないようにボソッと呟けば「んだと、テメェ」とクロス師匠に頭を叩かれた。開き直るように「クロス師匠とリナリーの年齢差を考えれば」と言い返せば「年齢差を考えるところがまだまだお子ちゃま」だなと鼻で嗤われた。イラァッとしたので「おっさんより若いほうがいいですよ」とにっこり嫌味な笑顔を貼り付けて言い返す。バチバチと僕とクロス師匠の間に火花が散る。

「ふ、二人とも?」
「「馬鹿弟子/モヤシは黙っとけ」」
「まだ何も言ってないのになんですか、その酷い言い方!!」

「もう知りません!」とむくれるアレン。それをクロス師匠が「勝手にしろ」と嘲笑する。ああ、なんかもう早く帰りたいね。眠気が襲ってきてあくびを大きく一つこぼした。生理的に涙がでてきて目をこする。

「花火、眠いの?」
「んー」

リナリーの言葉にこくりと頷く。うつらうつらと揺れる。イノセンスをそこまで使わなくても、術をたくさん使ったから眠いったらありゃしない。僕、結構頑張ったよね。あくびが連続ででそうになったのをかみ殺し、アレンに「はやく江戸接続して」と言う。「なんですかソレ?」というアレンの言葉にクロス師匠が「いいから言え。タリーな。それで外にでられんだからよ」うだうだとなんか言っていた。でも、その会話の眠気で上手くはいらない。戦闘中に意識を手放したのはあったとしても、やっぱりちゃんとした睡眠じゃないからノーカウントなんだよね。

【ほ、本船の『江戸接続』を解除。方舟よ、ゲートを開いてくれ】

ピアノの音と同時に宙に楽譜が浮上した。そして光る空間。ああ、これでようやく方舟からでられる。……戻る前にリルを回収しないとね。

さあ、帰ろう
(クロス師匠。すぐにどっかいかないでくださいね)
(あー?どっか行くに決まってるだろ)
(……いかないでくださいね?)
(ゔ……)
((なんだかんだで、元帥ってば花火に甘いのね))


 
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