あのあと、バラバラにならないよう固まりながら建物を何十軒と破壊して動き回る僕たち。あのとき僕らは建物を通じて外にでた。だからここもそのはず。そう思うがなかなか出口に当たらない。破壊も楽なものではなく、皆息切れをし始める。
「この舟は停止したレロ。もう他空間へは通じてないレロって!!マジで出口なんて無」
イライラし始めているときにカボチャのぼやきはイライラを高上させるだけで、怒りマークを浮かべながら僕たちは殴り飛ばす。「危ないっ」リナリーの叫びと同時に、僕たちの足場が崩れる。「っち」僕は舌打ちを鳴らしながら印を結び「空結!」と半ば自棄にながら唱える。幸い、全員がそこまで広がってなかったので空間はそこまで広範囲にせず済んだ。それでも、幻破・空結と連続で術を使っているため消耗がある。最近、エクソシストとしてイノセンスばかりの使用だから、陰陽師としての術はあまり使わないためなおさら。疲労でがくんっと足を崩してしまった。ぎゅっと目を瞑るが、地面にぶつかる前にぐいっと腕を引っ張られ、支えられた。
「ばかすか術唱えてんじゃねえ」 「……あんがと」 「さっきから、花火は不思議な術使うさねえ」 「クロス師匠が西洋魔術だと言うなら、僕は東洋魔術だから……東洋あんま、知られてないしね」
しかも、僕のは江戸によってできあがったものだから情報も少ないだろう。ずっと鎖国だったし、千年公の巣窟だったし。よくよく考えたら、あの村も凄いよねえ。千年公の巣窟で歴史を守って長く存在していたのだから。まあ、結局それも呆気なく壊されたけど。どうしようもないこの状況だから、途方に暮れて遠い目をしていた。
「なあ、花火のそれで出口って作れないさ?」 「できたらもうやってるよ、馬鹿兎」 (お、俺だけ名前で呼んでくれないさ!?)
ふぅ。一つ深く息を吐いたところで、息切れを整えた。「もう大丈夫」支えてくれた手を放して自分の足でたつ。さて、この空結は長い間保たないと思う。もともとこの術は、異空間専用ではあっても安定したところじゃないと使えないのだ。無茶な発動で周り無理矢理安定させているようなもので、方舟の崩壊には逆らえない。
「ねえ、出口って本当にないの?」 「無いレロ…ホントに。この舟からは出られない。お前らはここで死ぬんだレロ」 「あるよ。出口、だけならね」
ぞわりと、背筋に悪寒が奔った。
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