リル side
ぷかぷか宙に浮かびながらドンパチと派手に音がする戦場を見る。つまんない、なあ。弱いエクソシストがちょこまか足掻いても結果は変わらないというのに。なんで、そんなに頑張るんだろうね。あたしには理解できないや。まあ、もともと理解するつもりなんてないけど。「女は無理しないで綺麗に死ねよ」なーんてこと言ってるティッキーの言葉、今時流行んないと思う。男女差別はんたーいって感じ。はあ、花火ちゃんはみあたんないし退屈だ。あの学無しが花火ちゃんの臓器に穴あけるから!!イノセンスの破壊はよしとして、傷つけるなんて許せない!思い出しただけで腹が立ってムスッとする。
「リル!ちょっと手貸してくんね!?」 「はあ?なんであたしがティッキー助けなきゃいけないの?」 「てめっ、まだあの嬢ちゃんのこと怒ってんのか!」 「当たり前でしょう!花火ちゃんの臓器に穴あけたとか信じられない!イノセンス破壊までは許せたけど!」
怒鳴り返せば「うぐっ」と言葉をつまらせた。ティッキーの相手をしていた長髪の男が花火ちゃんの名前で反応したらしく「お前、アイツになにをした!!」と攻撃を強めていた。なに、あいつ。花火ちゃんの知り合いかなんか?親しそうに心配なんてしちゃってムカつく。やっぱり予定変更。
「この長髪男子はあたしが殺る」 「お、おう(相変わらず、あの嬢ちゃんに近づく奴に容赦ねえ……)」 「やっぱさあ、許せないよねえ。あたし以外の奴が花火ちゃんに近づくとかさあ。気安く触るなって感じー」
ぶつぶつ呪詛のようにぼやきながら攻撃の手を緩めない。相手もそこそこやる奴みたいで、攻撃を流しながら隙をついては斬りかかってくる。本当、ムカつく。能力、使っていいよね。手を上にあげて使おうとしたとき、ゾワリと身の毛のよだつ悪寒がした。 ま・さ・か。バッと振り返れば千年公が「チョコザイナ」と語尾にハートをつけて、攻撃しかける。信じられない!あわてて宙高く飛び攻撃範囲内から離脱した。
「うわ〜。惚れるね、千年公。怖え〜。江戸がスッカラカンだよ」 「ってかさあ、ティッキーだけならまだしも、あたしがいるときにやるー?」
危機一髪!って感じだったんだけどぉ!ぷんぷん怒りながら千年公に文句言えば「貴女なら回避すると信じてましたヨ」と返された。まあ、回避できるけどさ!あーあ、獲物見失ったなあ。と、再び退屈に戻ったところで面白いものを発見する。イノセンスらしきものが女を包んで守っているのだ。あれは、たしかロードによってゴシックなドレスを着せられていた女。あーあ、可哀想に。あんな目立つところでやれば千年公に目をつけられちゃうっての。笑いながら千年公が攻撃するのを見ていた。でも、その攻撃は不発に終ったみたいだ。なんで?首を傾げていたが、原因はすぐわかった。
「こんばんワ。またお会いしましたネ。アァ〜レン。ウォ〜〜〜カァァアァ」
あのムカつく白髪だ。花火ちゃんをいっちょ前に引きとめようとかしていた奴。っち、ティッキーの奴殺しそこねてるんじゃない。あの学無しが。心のなかで毒づいていると、白髪のまとうマントから飛び出したのを発見した。それにいち早く反応したあたしは、その飛び出した正体も簡単にわかり目を輝かせてむかう。
「あっはー!やっぱり花火ちゃんだあっ!!」 「さすが。早い感知でして」 「えっへん。花火ちゃんにそそぐ愛のパワー!」 「あっそ……!」
ティッキーが壊したと言っていた花火ちゃんのイノセンスがこちらに飛んできた。やっぱり大人しくこちら側についてきてはくれなさそうだし、少し嫌だけど力づくでおさえるとしようかな。
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