「簡単にいえば、これ幼馴染」 「ほんまに簡単やな!」 「それ以外ないでしょ」 「花火の初恋のひ「寝言は永眠して言え」酷いっ!!」
ずーんっとキノコ栽培しそうな勢いでへこまれた。まあ、放置しておくとしよう。でも、やっぱり幼馴染の表現はまずかった気がした。アレンの表情を覗えば複雑そうにしていたからなおさら。
「たしか花火の幼馴染といえる人は皆……」 「死んだはずだよ。だから、それを説明しろって言ってるの」
なのに、いつまでコイツはキノコ栽培をしている気だ。一度落ち込んだら復活に時間がかかるのは相変わらずみたいなので困るったらありゃしない。時間を有効活用するために、このすきにコイツの説明をするとしよう。
「《紫風夢歌》。紫の風が夢を歌うと書いて『しふうゆた』。なんともまあ読みにくい名前のやつ。僕とリルと夢歌で幼馴染三人組。関西弁まじりでテンションがうざいほど高い。……10年前に僕をAKUMAの砲弾から庇って死亡」 「えっ、でも……」 「今ここにいる。ってことで、早く説明してくれない」 「疑問系やないやんけ……。説明しろ言われてもやなあ」 「僕が一番聞きたいのは、夢歌もノアなのかってこと」
リルに引き続いて夢歌までノアだとか言われたら、さすがに僕は戦える自信がないよ。二人にそろって誘われたら揺らぐところがある。だから、そうではないと答えてほしいという眼差しでみつめる。夢歌はふっと笑い「安心せい。俺は普通の人間や」と僕の頭を撫でて答えた。「撫でんな」ぱしっと手を払いのければ「てれてるん?」と笑われた。
「普通の人間だとして、じゃあなんで今生きていれるの?」 「手厳しいやっちゃなあ。感動の再会やのに」 「リルがノアになった時点で、疑う要素は盛りだくさん」
ごめんね。本当は僕のそばにずっといて、最期まで庇ってくれた夢歌を疑いたくなんてないんだ。でも、この戦争に参加しているかぎり信頼している人でも常に疑わないといけない事態が起きるんだ。……僕の考えを読み取ったのか、夢歌は「花火は当たり前反応してるんやから気にすんな」と寂しげに笑った。
「普通の人間やで。ただ、ちょっとAKUMAのウィルスに対抗もってるな」 「どこが普通の人間だ」 「せやな。イノセンスの適合者でもない俺がAKUMAのウィルスに対抗もってたら、十分化物やな」 「いやいや、そうじゃなくてさ。砲弾を直撃しておいて生きてるって普通じゃないでしょ」 「は?」 「え?」
……話が少し、かみ合っていなかった。
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