狼娘物語 | ナノ



あれからすぐにアニタは消えた。しばらくのあいだはそこでへたりこんでいたが泣かなかった。否、泣けなかった。僕は本人の前では泣かないことを決めているのだ。安心して成仏してもらえるように。
それから僕は顔をパチンッと両手で叩いて立ち上がった。このことはアレンに伝えないでおこう。目の痛みもなくなったところで、ふらふらと歩きだした。そこで面白いものを見つけた。

「べっ、別に励ましにきたんじゃねーぞっ!あたしはまだムカついてんだ!!いー気になんじゃねーぞ!」

手で頭をかきながら、顔を赤くしているフォーをみつけたのだ。そこにはアレンと新米科学班トリオ。最近のアレンの様子と、照れたフォーの様子。それと、新米科学班の女の子の怒った様子をみればなにがあったのかがすぐわかった。ムスッとした表情を浮かべたフォーの後ろにたって「古典的なツンデレだね」と声をかける。

「……お前に言われたくないな」
「え、なんで」
「お前こそツンデレの代名詞……ってか、その単語をお前がどこで知った!!」
「僕にデレは存在しない。どこから……ってクロス師匠」

きょとんとして言えば、フォーは疲れた表情をして「寝る……」と言った。擬態は体力の消耗が大きいもんね。それだけじゃないだろうけど。クスクス笑っていれば「ほんと、素直になるとやな奴だな」と悪態をつかれた。知ってるよ、そんなの。表情にでていたのか舌打ちをついてフォーは背をむけた。

「ありがと、フォー。灯り」
「少し休んだらまた始めるぞ」
「うん」

アレンが笑ってお礼を言う。フォーはそれをぶっきらぼうに対応した。やっぱり、フォーは優しいな。彼女の後ろ姿をみつめていると、突然フォーがかたまった。その様子に?を浮かべていると、フォーが小さく「バク…バク…ッ」呟くのが聞こえた。

「ウォーカーを隠せバクゥ────!!!」
「フォー!!」



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