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しばらく四人で飲んでいたが、始めに仁が、次に颯が寝てしまい、誕生日会はそこでお開きとすることにした。
「じゃあ、俺、仁のこと送って帰るね。」
「おぅ。」
「颯はどうする?」
「…泊まらせる。」
「分かった。じゃあ、」
「あぁ、お疲れ。」
軽々と仁を抱き上げ、最後にもう一度おめでとうと呟き、真は帰っていった。
二人きりになった所で、一応、颯の頬を軽く叩き、起こしてみる。
「颯、」
「ん、…んぅ……」
「……ダメだなこれ。」
全く起きる気配の無い颯を抱き上げ、自室のベッドに寝かしつける。
「ん…」
「おやすみ。」
「…………りゅ、う……」
髪を手でときながら声をかけると、颯の口から違う名前が出てきた。
相田 颯と俺が付き合い始めたのは、中学の終わりごろだった。
家が近所という、よくある幼なじみとして育った俺達は、一緒にいるのが当たり前だった。
いつしか、周りからはホモだと囃し立てられ、何の偶然か、本当に颯を好きになってしまった俺がこいつに「本当に付き合ってみるか?」と、尋ねたところ、頷いたのでそのまま付き合うことにした。
もちろん、高校も同じところにいくのは自然なことだった。
そして、そこで、俺は真と。颯は仁と出会った。
それぞれ波長があったのか、仲良くなり、さらに四人でつるみ始めたのもそう時間はかからなかった。
別に隠していたわけでは無いが聞かれてもいなかったので、俺達の関係は言わないままだったが、気づけば仁と真は付き合っていた。
そして、それを告げられたとき、俺は颯の反応から悟ってしまった。
ーーー颯は真が好きなのだと。
俺と真は似ていた。波長も合っていた。そして、真は俺より優しかった。ただ、それだけのことだが、颯が好きになるのも頷けた。
俺達もやることはやっていたし、颯が飽きたといっても自然なことだった。
……だが、確実に、俺の中に颯を手放したくない気持ちがある。そして、それと同時に、颯を縛り付けたくないと言う気持ちも。
こんな、優柔不断な俺をどうすべきなのか、まだ俺は悩んでいた。
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