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コイツは分かっていない。
俺に血を飲まれば、もう今までの日常には戻れなくなってしまう。
突き放さなければ。
そう思っているのに、コイツから香る芳しい香りに俺の理性は揺さぶられる。
「…っ」
「我慢しないで。イザギ。俺は平気だよ。不老不死だって怖くない。その分、イザギと一緒に居れるんだ。」
俺に抱きついていたソイツが顔をあげ、俺に微笑んだ。
俺はその顔に片手を添える。
「バカだな…カナトは。どうなっても知らんぞ?」
「平気だって。」
「……仕方ない、そのかわり条件として、」
俺は顔をカナトの耳の横に持っていく。
「一生俺のモノになれ。」
君がいる(もう手放さないからな。)←|--
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