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仙道くんが仲間になった!!
…………なんて、冗談言ってないと、どうかなってしまいそうな車内なう。
何故か仙道くんがついてきてます。そしてそれに怯える優しそうな運転手さん。うん…なんかごめんなさい。
沈黙が続く車内で我慢すること10分。
漸く特別棟に着き、ホッとする私と運転手さん。
車から降り、仙道くんにありがとうと言おうと振り返ると、
「……ついてく。」
「いや、大丈夫だ。理事長室ぐらい迷わずに行けるし。」
「…………」
少しシュンとなってる仙道くんにキュンキュンしちゃいましたが何か?
だって、自分より大きい男子がシュンて……シュンってぇえぇぇ!!!!
可愛すぎる一匹狼くんに、「じゃあ…案内頼む」って言ってしまったのは自然の摂理だと思われ。
またもや、沈黙が10分ぐらい続き、現在、理事長室前に来ております。
流石に此処までだろうと後ろを振り返る。
「ありがとう。仙道。」
「……っ…待て、名前は…?」
「俺か?知らなくても問題無いさ。」
「しっ…!……知りてえんだよ…!」
「…明日には分かるよ。仙道が教室に来ればな。」
まだ不満そうに口を開こうとする仙道を無視して私は理事長室の扉をノックする。
「おいっ」
「じゃあな、仙道。」
有無を言わせない笑顔を見せてやれば、ちゃんと黙ってくれた。
私は扉を開け、中に入る。
大丈夫。心配しなくたっていつでも会えるよ。仙道くん。
[side.仙道千夏]
名前が知られていることは承知していた。
だが、それでも尚、俺に怯えない奴は初めてだった。
地毛かどうか分からないが、淡いピンク色の髪に、少し赤に近いダークブラウンの瞳。大人びた印象を与える俺より少し背の低いソイツに俺は一瞬で興味をひかれた。
気づけば、車なんかチャーターしちまうし、理事長室まで案内しちまうし、正直何がしたいのか自分でも分からない。
それに、最後まで名前を言わないし。
俺を無視して扉をノックしたアイツに文句を言おうと口を開けば。
「じゃあな、仙道。」
大人びたソイツが見せた一瞬の笑顔はやけに幼く見えて…
俺は暫くその場から動けなくなった。
名前も知らないソイツに興味心がそそられていく……
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