3
「ただいま〜っと…お?」
銀時は玄関先にある見慣れない靴に首を捻る。
すると、中から楽しそうに笑う声が聞こえてきた。
「何だァ?お客さんか?」
「あ、お帰りなさい。」
居間まで行ってやっと銀時の存在に気づいたららしい新八と神楽、そして、
「初めましてー。鈴原姫綺です。」
「……唯…?」
瞳や雰囲気は違えども、その面影は彼女にそっくりで、銀時は無意識に口走っていた。
「違いますよ。姫綺さんですよ。どうしたんですか?」
「え…あ、いや何でもねぇよ。」
そうだよな。"アイツが此処にいるわけがない"よな。
銀時はそう言い聞かせて、買い物袋を新八に押しつけるとソファに腰を下ろす。
「銀ちゃん銀ちゃん、聞いてヨ!姫綺ったら此処で働きたいって言ってきたアル!」
「マジでか!?給料出ねぇぞ!?」
「それ新八くんも言ってましたよー。私給料は要らないです。寧ろ報酬払うんで此処に置いて下さい。」
姫綺が頭を下げて、もう一度顔を銀時に向けると確実に銭の目になっていた。
「あー…其処まで言うなら?置いてやっても良いけど?ま、まぁ、生活費とか?出して貰うけど?」
「黙れ。天パ。そんなに金が欲しいなら自分の○玉でも売っていろ。」
………なぁんて、昔の私なら言うだろうなぁ。とつい笑みがこぼれてしまう。
時を経ても変わることの無い戦友に、姫綺は胸が暖かくなった。
「ありがとうございます。銀時さん。」
「あ、あぁ…!」
銀時はついのどを鳴らしてしまった。
←|
→
[3/9]
bkm/list/name