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「ごめんなさいっ!今すぐ買い直してきますね!」
「いや、いいわ。また明日じぶ…「ダメです!私が間違えたんだし…行ってきます!」
姫綺は顔を真っ青にしながらそのまま財布を片手に飛び出していった。
新八と神楽が銀時へと目線をやる。
「俺の所為なの!!!?」
(つい勢いで飛び出してしまったけど、迷惑だったかな?)
そう少し反省しながら歩いていれば、前方に新八くんのお姉さんである妙ちゃんと柳生家の九ちゃんが歩いていた。
「あ、妙ちゃんに九ちゃん。」
「あら、姫綺さん。」
「二人はデート?」
「なっ…!?」
「そうそう、デートよ。ねっ、九ちゃん。」
「ぼ、ぼぼぼ僕は…!!」
妙ちゃんと私の冗談に顔を真っ赤にする九ちゃんは話を逸らそうと話題を私に振る。
「す、鈴原こそどうしたんだっ?」
「私は銀時さんのジャンプを買いに行く途中なんだぁ。」
「あら、あの男ったら、新八だけじゃなく姫綺さんもこき使っているの?酷いわね。」
「良いんですよ。私が自らやっているだけですしね。」
「強いんだな。鈴原は。」
九ちゃんの微笑みながら言ったその言葉に私は苦笑する。
強い…とはかけ離れているだろう。私は誰よりも弱くて臆病者だから。
二人と別れた後、私はコンビニであんぱんを買う真選組の人を見かけた。
「あっ…!おはようございます!姫綺さん!!」
その人は私と目が会うと、慌てて腰を折って挨拶してきた。
「え…あの…?」
「あ、俺、山崎退って言います!いつも副長がお世話になってます!」
「あぁ、バドミントンの人?」
「うわぁ、知っていてくれたんですね!嬉しいです!!」
あれから毎日のように万事屋に顔を出すようになった土方さんはよく私の前で部下や上司の愚痴をこぼしていく。そんな中、よく話題になるのが今目の前にいる山崎退だ。
優秀な人材らしいんだけどバドミントンとあんぱんに興味が無い残念な奴らしい。
「クスッ…本当にあんぱんが好きなんですね?」
「えっ、あ、いやこれは俺のポリシーというか、仕事中はあんぱんしか食べないって決めてるんで。」
「それは凄く大変なこだわりですね。つまりは、非番の時だけカレーとか食べられるってことですよね?そんなの私には無理だなぁ。」
「え…いや、そうじゃ…」
「大変でしょうけど、頑張ってくださいね!」
「…はいっ!」
きっと間違いを訂正したかったのだろう山崎さんの反応に私は気づかず、そのままジャンプを買い、コンビニを出た。
「今度こそ、だいじょ「よう、姫綺。奇遇だな。」
振り返ると、制服に身を包んだ土方さんと、栗色の髪の少年が居た。
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