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ジャンプを買い直してから銀時の元に戻る前に私は一階のお登勢さんのところにお邪魔していた。
「よくもまぁ、アンタも我慢できるねぇ…」
「ワタシなら一発殴ってマスヨ!!」
「まぁ…置かせて貰っているわけですしね。この位は予想してましたし。」
「ったく…あの天パ野郎、昔の女も忘れられずに姫綺ちゃんに当たるなんて男の風上にも置けないね。」
私はお登勢さんの言葉に苦笑する。
一応誰かに愚痴を聞いて貰わないといつか爆発してしまいそうなので、身近で頼りになる彼女達には訳を説明している。勿論他言しないという条件で。
「仕方ないですよ…銀時さんはその人を"殺してしまった"のだから。」
「……どういう事だい?」
「内緒です。」
つい心を許してこぼしてしまった呟きを拾ったお登勢さんに私はそれ以上は言えなかった。
あの時、あの場で、あの様になるのは、自然だったし、第一彼を責めるようなことは一切無いのだから、時効だと言える。彼女も納得した結末だったのだろうし。
私はしばらく思考を巡らせた後、両手で自分の頬を叩き、気合いを入れ直す。
「よし、じゃあ戻りますね。愚痴聞いてくれてありがとうございました。」
「この位が愚痴になるんだったら何度も聞いてやるよ。」
「負けないよう頑張って下さい。」
「何かあったラ、呼びなサイ!!」
「ふふっ、ありがとう。」
此方が聞かれたくないと分かればそれ以上掘り下げようとしてこないところが、多くの人に信頼される要因なんだろう。勿論、私にとってもそれは嬉しいことに変わりはない。
スナックを出て二階に上がり、万事屋の戸を開く。
「ただいま帰りました。ジャンプ買ってきました。」
「…………お疲れさん。」
「っ……はいっ!」
一週間目にしてやっと彼から労いの言葉を貰った。
私がそれに嬉しそうに応えれば、銀時は照れくさいのかすぐにジャンプに顔を向ける。
新八くんと神楽ちゃんはこちらに向かって満面の笑みで親指を立てていたので、私も同じ様に親指を立ててみた。
「……………………って、これ先週号じゃね?」
「………………………………………………………あれ?」
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