鋏
誰にも理解されない。
それは汚点だと思っていた。
でも、違うと言ってくれた人が居た。
その人を俺は尊敬している。
その人に感謝もしている。
でも、ダメなんだ。
近づいちゃダメなんだ。
好きになっちゃダメなんだ。
愛しちゃダメなんだ。
俺にだけ許されない行為。
大切なほど足枷になる。
苦しい。
愛したい。
愛されたい。
貴方に見つめられたい。
「―――…まぁ、お前は違うけど。」
あの人を愛せない変わりに俺は全然好きでもない奴を愛す。
でも、やっぱあの人ではないからすぐに飽きてしまって壊すんだ。
「でも、俺の狂気を3日"も"止めていてくれたから、特別にこれで壊してやるよ。」
「ひっ…」
目の前の男が息をのむ。
俺が手に持っているのは人の丈ほどある大きな鋏。
「バイバイ。」
卑劣な音を立てて男は動かなくなる。
俺はなんの感情も持たずにそれを見下ろす
嗚呼、もう貴方への思いが膨らむ。
でも、俺が近づけば貴方を傷つける。
愛したい。愛されたい。
けど、この手で触れることさえできない。
それはまるで美しくも残酷に歪んだ
鋏(鋭い刃では貴方を愛せない。)
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