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「ぐ、ぁ…痛い、やだっ……」




ぐ、と腰を押し進めるとごぽ、と嫌な音を立てて孔から血が滴った。
私は何か強い興奮を感じて恍惚にため息をつく。熱いバーンの中で絡む血はとてつもなく、気持ち良かった。うねる肉壁と潤滑油。誘われるがままに律動を始める。ぐちゅぐちゅぐぽぐぽ、ついでにバーンの悲痛な絶叫も、全部こだました。こんな形で処女を奪ってしまったのだから痛くないはずがない。余程辛いのか顔を歪ませて尻の孔から血を流している姿は、なるほど、滑稽だがある種興奮剤になる。太ももを伝う赤い線。白い肌に赤い血は映えて、目眩がした。可愛い、可愛いよバーン。そういいながら背中に口付けると、バーンは大きく震えた。ここからだと表情は汲み取れない。

代わりに嗚咽を含んだ、おれはおまえが嫌いだ、というか細い言葉を聞いた。




「私は、好きだよ。」




ぐり、と奥深くまで捻り込むと中がぎゅっと締まった。知ってる、感じているからじゃなくて、痛いから締まったんでしょ?でも私にはそんなこと関係ない。こちらは締まったら気持ち良いに越したことはないのだから。
背中に片耳を押し付けると、どくどくと忙しない心臓の音が聞こえた。バーンの、獣が喉の渇いている思いを舌に伝えているときみたいな、目まぐるしい呼吸がずっと鳴り止まない。はあ、はあ、はあ。痛いんだ。痛いんだね。でも私はそんな君を見ていると凄く落ち着く。いつもは何をしても噛み付く君が、この瞬間だけは従順なのだと。
ねえ、君の髪と血って見分けがつかない色をしている。細い腰を掴んでこっちに引き寄せると、細い腰は辛そうにうねりを繰り返して逃げようとしていた。自分のを押し付けた拍子に、結合部からとめどもなく血が流れだす。バーンの行き場のない手は、ずっと目の前にある壁に爪を立てる。ばりばり、ばりばり。むしる。段々と爪が赤くなっていく。血が、白い指先にびっしりと。

あ、と思ったときには私は射精していて、射精のリズムに合わせて細い腰は痙攣した。ああ、そうか。私は彼の肌と血のコントラストに欲情していたのか。とんだ変態だ。

己をバーンから出して支えを無くすと、バーンは魚の様にびたっと床に落ちた。涙でぐしゃぐしゃの顔がとても愛しい。白い肌が、赤い血が、あまりにも美しくて、暫く私はその肢体を見続けた。
バーンは涙で濡れた顔をこっちに向けて、ため息をついた。何気ない流し目がいやらしい。



「馬鹿だ……、あんたは、お前は、気持ち悪い」



返答の代わりに、私は頬にキスを落とした。吸い付く肌は少しだけ塩っぱい。君はこんなにも私を欲情させるのに、泣いてばっかりで少しも感じないね。私が一方的だからいけないんだろうけれども。





「赤、好きかもしれない」



ずっと拒んで、嫌いで、自分に似合いもしない色。でも、こんなにも興奮する色。くぷ、とバーンの孔に指を突っ込んで出すと、白と赤が混ざった液体が出てきた。



「ひっ………」



触ると痛いのか、バーンは顔を歪めたまま動かない。しかし、白と、赤。何というか、これは、どう表現したらよいのか。つまり、そう、これは、いただけない。


混ざらないからこそ、美しいのに。
いただけない色だ。



「そうか、中に出しちゃいけないんだ」



くぷ、ぐぷ、ぐぷり。



「いぁ、ア、痛い、やだ、痛いっ………!」



「でも、ゴムもいやだ」




つう、と白と赤の汚らしい糸が指先で光っていた。バーンの肌とあの血に比べたら、汚らわしくて見ていられない。汚い、汚い、見苦しい。


指先についたそれを、床に擦り付けた。なんと馬鹿馬鹿しい終わりなのだろう。




バーンはもたもたと起き上がって、座り込んだ。いつもよりずっときつい顔をしながら私が床に擦り付けたそれを眺めている。悲しそうに、それでいて愛おしそうに。この目は、見たことがある。自分のチームメイトに向ける目だ。
私が、一度も向けられた事のない目。




「綺麗な色だな」



かすれた声でぽつりと呟いたのは、私を不機嫌にさせるには容易い言葉。これが、綺麗?
ぎっと睨み付けると、それでもバーンは気にせずにぽつりぽつりと言葉を出す。



「俺の、プロミネンスの、ユニフォームの色だ」




そのバーンの表情が、あまりにも穏やかだったから、何も言いだせず座っていた。私にその表情を向ける日はいつくるのだろう。こんなにも近くにいてもこんなにも相容れないのに、こんなにも、こんなにも、ねえ。君の赤と白に溺れてしまいそうだ。




そのまま、私はゆっくりとバーンの白い背中になだれ込む。
私は、いつになったらバーンと交われるのだろう。そして、無理矢理体を開いたバーンが何も言わず背中を貸してくれたことに、また期待をしてしまうんだろう。



いつかそのバーンが愛しい目を向けた、赤と白の様に混ざり合えることを期待してしまうんだろう。















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