「ねぇ、ごめんてば」
「うるせー、話し掛けんな」
って言われても、ここ俺の部屋なんだけど。君が乗っかっているの俺のベッドなんだけど。
ケンカの原因はもう分かってるんだけど、この素直じゃない恋人はどんなに謝っても許してくれない。確かにそこも可愛くて彼の魅力だとは思うんだけど…めんどくさいときもある。
俺がはぁ、とため息をつくとバーンは振り向いて俺を睨みつけた。……うーん何だか今日は特に怒っているような気がする。最近ずっと円堂君のところに行っていたせいだろう(ただの偵察だけど…)。ろくに構ってなかったし、素直じゃないわりに甘えたがりな彼は相当いらついたのかもしれない。
我儘な恋人をもったものだなぁ、本当に。
「ねぇ、ごめんね、機嫌直して?今日はとことん何でも付き合うから」
「……。」
「何でも、いいよ。」
「……なら、」
「なら?」
「………キス、」
ああ、もう。
可愛い頼みごとをするものだ。さっきまでの苦労が嘘みたいになる。
……というか案外素直だったことに驚いた。まぁ確かに最近全然してなかったね、ごめんね。
「下、向いてたら出来ないんだけど」
「…………」
顎をくい、と上に向けると耳まで真っ赤にした恋人と目が合う。が、目を逸らして伏せられてしまった。たった二文字なのに大変だったのかな、やっぱり。
「ふふ、キス、よく言えました」
「ばか、にしてるんだろ……、んっ」
ふに、とした感触と温かな体温が伝わる。そのあとどうしようか迷ったけど、結局欲に負けて舌をいれてしまった。逃げる舌をずっと絡ませていると体の力が抜けたのか、バーンの体がベッドに倒れる。それでも気にせずに上にかぶさり再開するとバーンはべしべしと俺のわき腹を叩いた。
……とても、痛い。
「……っは、なぁに?」
「……っくる、しいっつの…そんな…長いの…無理」
そんな、息荒くして色っぽい顔されると気分が盛り上がってきてしまう。でもここで事に及んでしまうと、終わってからバーンの機嫌が取り返しのつかないことに、なる……。
「…やりたいとかいうなよ。」
ほら、釘さされた。でもバーンが自分から拒否をするなんて珍しいことだった。まぁこの状態でしたら完全に殺されてたよね。惜しい気もするけどよかったと思っておこう。
「次は何してほしいの?」
「………寝る」
「………え、」
バーンはいきなり布団を引ったくると、俺ごと布団をかぶせた。そして、俺の胸にぎゅ、と顔を密着させる。
「お前のこと、考えすぎて、眠れなかったんだよ…だから、寝る。もし俺が起きた時お前がいなかったら、絶交、だからな」
「…。……うん大丈夫、そばにいるよ。お休みなさい。」
それから間もなくして、バーンは小さな寝息を立て始めた。少しだけ体を離すと、眉間に皺を寄せていない顔がよくわかる。本当に寝ていなかったのだと分かると、とても胸が痛んだ。
「ごめんね、心配かけさせて。愛してるのはバーンだけだよ。」
眠り姫に、苦しくないように軽いキスをした。
君が拗ねたり傷付いたりしたら、何度でも。
気の済むまでキスして
大人と子供な感じでもいいと思うんだよ
title:確かに恋だった