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※なのか微妙なところ






嵌められた。
俺は隠しもせずに盛大に舌打ちをした。後ろに一括りにされた自由のきかない手を拳にする。切れた口の端が痛い。

それは勿論殴られたからなのだが、しかしこんなに容赦無く、人を殴れるものなのだろうか。俺が言えた立場でもないが、少なくとも生徒会長様よりは客観的に人を殴れる位置にいる筈だ。


生徒会長様。目の前で高級そうな椅子に腰掛けて絶対零度の冷たい目でこちらを見下している彼がそうなのだった。

「無様、なんてね……君にそんな言葉使ったら無様が可哀相だ」

「……………。」

「もっと短気だと思ってたんだけど。」

「…キレ過ぎて何にも言えねーんだよ」

「そう、ならいいよ」


クスクスと神経を逆撫でする笑いに歯軋りをする。ああ、元はと言えばあの表面上だけの付き合いの馬鹿な不良共の所為か……最悪なさよならだ。




「狂犬か。これはまた……。」

「ああ!?人を犬扱いすんじゃねーよタコ!」

「…君こそ人をタコ扱いしないでくれないか。君はもうそのものだからいいじゃないか。躾もされるわけだし」

「………は?」


躾、と言ったのかこいつは?途端よくよくエロ本なんかで見かけるSM、調教なんて言葉が頭に浮かぶ。まさか、な?
だってこいつは男だし俺だって男だ。女に間違われない自信はある。つまり、そういう意味での「躾」なんて存在しないわけだ。何を考えてんだ俺は……。



「何を固まっているんだい?ああ、意外と頭いいね、南雲…と言ったか」

「な、んだよ」

「さぁ、調教楽しもうか南雲。」


ヒヤリとするような奇麗な笑みに、俺の考えていたことが間違いではないことに気付いた。まずい、こんなところで転がっているわけにはいかない。男にSMみたいなことをされるなんて冗談じゃない!

焦る思考に身体がついていかない。もたもたしていると生徒会長が近付いてきて、俺のすぐ横の壁にがあんっと衝撃が走った。無論、生徒会長が壁を蹴っただけのことである。



「逃げるなよ南雲。」

「うっせーなド変態…。」

「折角お友達が身を売ってくれたのに…まぁ彼等も無事では済んでいないけれど」

「ドSでド変態って救いようねぇな…。」

「その口、塞ごうか?」

「ナニで?」


馬鹿にしたような顔をして見せると向こうにも同じような顔をされた。全く、女みたいな顔してるから余計腹が立つ。



「生憎私は人を嬲って興奮するような外道ではないんだ、期待に応えられなくて残念だが。」

「無自覚ってこえーなー…。」

「…君が、嬲ってほしいなら別だけどね。」

「俺だってそんな異常な性癖もってねえ。」



しかし呑気に壁にもたれて座っているわけにもいかない。さてどうしたものかと考えていると生徒会長が俺の頬の輪郭を冷たい指先で撫でた。ぞわぞわと気色の悪い感覚がして目を瞑る。
その途端、ブチブチと何かの弾ける音がした。制服のシャツのボタンが弾け飛んだ音だった。上半身が外気に曝され少しだけ肌寒い。

優越に浸る目の前の顔を見て、苛立ちが隠せなくなってきた。



「…いい加減にしろよテメエ…」

「ふーん…へーえ…“汚れを知らない”ってこういうことなんだろうね…」

未だにやにやと笑いながら頬を撫でる。そのまま首を通り、胸の間を通る。腹の辺りまでいった時、その先がわかった気がして身体を思い切り倒す。横にはなるがその先の怖い行為は避けることが出来た。


両手が使えないとは、本当に不自由だ。なんとかならないものだろうか。



「綺麗な肌だね、女みたいだ」

「お誉め頂き光栄デース…」

「本当、白くて……赤がよく映える」



そろそろ身体の下敷きになっている方の腕が痛い。しかし仰向けになったら絶対抵抗なんて出来ない。
こうなったら…口で勝つしかない。



「つーかよ…何で俺こんなことされてるんだよ、他の奴等だって同罪だろ?学校の近所の公園で爆竹してただけでこの仕打ちはねーと思うんだけど」

「君の顔が好みだったから連れてきただけだ」

「……………。」


墓穴どころではない、地獄へ続く穴を掘ったようだ。



「安心しなよ、さっきも言ったように彼等はもっと酷い仕打ちを受けているはずだから」


寧ろ俺もそっちがよかった。おかしな後悔だが、こんな訳のわからない変態美人を相手にするよりはずっといい。
生徒会長は俺を素早く仰向けにするとシャツから見える胸の突起に触れた。冷たい指の所為か身体が過剰に反応する。鼻にかかったような声が洩れて、恥ずかしさに目を強く閉じた。

そこだけを触られると何だかむず痒い感覚が襲ってくる。段々と荒くなる息。



男にこんなことをされて息が上がっているのだ。自分が気持ち悪くて吐き気がする。




「………ん、…やめろよ畜生…!」

「そう言う割にはいやらしい声出すね」

「そんなわけ………!」

「ほら、ココ?」

「………っ…はぁ…」


ただ息を吐いているだけなのに声まで一緒に洩れる。弱い部分を執拗に触るので負の連鎖が止まらない。


そして、生徒会長は触っているだけでは飽きたのか、ぐり、と強くつねった。途端激痛と痺れるような快感が身体を走った。


「いっ…!…や、ぅう……」



まさか、そんなまさか。俺はこの憎い生徒会長の指で感じさせられて女みたいにいかされそうになっているのだ。


痛い、けれどもどかしい。ぐるぐると身体を駆け巡る快感に何も考えられなくなる。



「………っ、………。」


「ひょっとしてさ…胸、弱かったり、ね?」


「弱く、ない………!」


「そう、じゃあこんなものつけても何も感じないよね?」



おもむろに胸に貼られたのは小ぶりのローター。悲鳴があがるのとローターのスイッチが入るのは同時だった。






















「はっ……やだ…うぁ、ア」



何分くらい経ったのだろう。さっきからずっとこの刺激を受け続けている。もどかしいがこいつの前で自慰をするわけにもいかず、じっと耐えていた。
こいつはというと、薄い笑みをはりつけて卑猥な玩具を色々と手にとっている。そんなグロテスクなものを挿れられるくらいなら死んだ方がましだ。




「あっ、やだ、や…とめろっとめてぇ……!」

「君もそこも、嬉しそうに涙流してるけど?」

「やっん…!蹴るっ…な馬鹿………!」

「ほら、蹴ったらもっと溢れた。…全く、素質があるんじゃないか?」

「あっふ、ぅ、嬉し、くなぁ、ぃ………!!」




視界がぶれて涙で淀んでゆく。床に水滴が落ちて染みをつくっていく様を感じながら、抵抗の意を示して上げていた首を落とした。もう、無理だ。逃げるのは不可能だ。



「諦めたのかい?」



「…………ぅ、っ…。」



「耐性のない…。まあいいさ、調教が楽になっただけのことだ」



もう嫌だ、助けて、嫌だ。またグロテスクなモノを目の前でちらつかされて、涙で何も見えなくなった視界は深いキスのせいで真っ白になって消えた。




どうせ次起きた時は地獄なんだろう。
















中途半田で申し訳ない




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