人間×悪魔
結構ギリギリ
寧ろセウト
世間はやれクリスマスだ正月だで賑やかさを増している。友人も合コンやら実家帰りやら忙しそうだ。私なんて実家に帰るのも面倒臭く、女が欲しいわけでもないので合コンなんぞもってのほかだ。別にいい。ロンリーなクリスマスなんて慣れっこだ。そんな大学の冬休みのクリスマスの夜、奇跡と言ったらいいのか悲劇と言ったらいいのか。事件は起きた。
私はいつものようにソファに座って本を読んでいた。何も変わらない、静かな聖なる夜。そんな時突然、そいつは何処からか落ちてきたのだ。
…テーブルに。
「………いだっ!」
「!?」
先ず大きな音にびっくりして、そして落ちてきたものが黒い事にも驚いた。ついでに言うとテーブルの上の天井は窓が付いているわけでもない。ただの壁だ。
「足…捻った…あー何やってんだよこんな所で…」
「…えっ、」
テーブルの上に落ちたそれの姿は人間のそれと全く変わらない。しかし大きく異なるところがあった。それは、
それの背中から生えている、大きな黒光りする翼。
まるでそう、悪魔のような。
「あん?…人間?」
「ちょっ、何だ君、何て言う格好をしているんだ!」
「…はあ?」
正直それは見るに耐えない格好をしていたのだ。ロングブーツはセーフとしよう。しかしギリギリな短パンといい思い切り腹の出したぴっちりとしたビキニのような服といい黒い翼といい存在がアウトだ。
というか危なっかしい。黒く長い、ゆらゆら揺れている尻尾が何だかいやらしい。
そんな私の視線にそれはとても嫌そうな表情をした。そしてテーブルからおりようとしたのだろう、足を忍ばせて体が空に浮いた。
………落ちた。
「ふあぁんっ」
「…!?」
何だ今の。何なんだこいつ。淫魔か?淫魔なのか?顔が少し赤くて何かに耐えるような表情をしているのは気のせいだと信じよう。
「何だこれ…力入らない…おい人間、これてめえのせいだろ!」
「……はあ?何が何のことだか分からないが」
「とぼけんなよ…!てめえ絶対デビルハンターの子孫だろ!」
最早日本語なのかどうかすら。というかデビルハンターって何だ。多分知らず知らずのうちに私は蔑みの目でそれを見ていたのだろう、それはひどく居心地が悪そうに身動いだ。
「くそ…起き上がれねえ…!」
「聞いていいか、…何だ、君は。何処から入ってきた」
「人間って案外馬鹿だな。どうみても悪魔だろ悪魔。人間界のものはすり抜けることが出来んだよ、悪魔は」
「…そんなこと、信じると思うか?」
「じゃあこの翼はどうやって説明するんだ?」
床に這いつくばりながらにやにやと笑うそれに苛々が募る。それはそうだ。時間を無駄にするのが大嫌いなのだから。あと、それの態度がいちいち鼻につく。なので翼に触ってやった。つるつると、何だかコウモリのような翼だ。
「ああ、生き物の翼って感じだ」
「やっ…あんま触ん…なっ…んんうっ」
「……………………。」
もうやだこの淫魔。
「…とりあえず、状況を整理する。君は悪魔で、私が何らかの力で君の魔力?…を弱めていると」
「……ああ」
「こっちとしてはさっぱりだ。…次。どうして君は人間界に来たんだ」
「…今人間界はクリスマスやら正月やらで浮かれてんだろ?悪魔としては幸せオーラ出されたら力が弱まっちまうわけよ」
「…はあ…」
「その幸せオーラを、根絶するために、きた。」
「根絶って…」
「んでまずは一番オーラの薄いてめえの家に入り込んで作戦練ろうとしてたわけだ」
「着地失敗したけどね」
「うっせ」
「あともう一つ言っていいかい?」
「んだよ」
「クリスマス、もうすぐ終わるんだけど。」
「……………は」
漫画みたいな顔をされた。悪魔ってこんなに表情がころころ変わる生き物なんだろうか。
「ちなみにもう23:47ね。あと十三分で聖なる夜にグッバイ」
「嘘だろ……」
「残念だったな、カップルの邪魔出来なくて」
「…………チッ、仕方ねえ、帰るか。次は正月だな」
悪魔がよろよろと起き上がって、翼を広げる。おお、と感心したのも束の間、悪魔は直ぐに倒れてしまった。
「っでだよ…!何で力が出ねえんだ!?」
「…そこに寝かせておくのも可哀相だから、ベッドに運ぶよ」
「さっ触るな人間!…ふあぁ、や、らっ…あっ…そんなとこっ…擦んな…っぁ!」
私は何もしていない抱き抱えてベッドに運んでいるだけだ運んでいるだけだ!決して訴えられるような事はしていない!ベッドに落とすと悪魔は息を荒くして上気した頬、上目遣いでこちらを見た。うわ無防備。何だか気に当てられそうだ。
「回復するまで寝てなよ」
「うるさいっ…!絶対てめえの所為なんだよ!」
「…静かにしててくれるかな、一応マンションなんだよ此処。隣に聞こえたらどうするんだ」
「ひゃっ!…わかったぁ、から…、さわんなっ…!」
脇腹をつついただけでこの反応。多分だが、その、なんちゃらハンターの子孫というのが影響しているとみえる。私は催淫剤ではない。決して。
「ちくしょう…人間にこんなことされるなんてっ…屈辱だ…」
「私は割と楽しいよ」
「やっ…やめろ…!し、尻尾は…ふゃああっ!」
そういえば高校の時に回ってきたAVにコスプレものでこんなものがあった。が、なんというか…こっちの方が比べものにならないほどやらしい。作り物とは違うな、と感心しながら私はぴくぴく痙攣している尻尾を掴んで思い切り引っ張った。私としてはほんの遊び心だったのだが。
「―――――――ひゃあああっ――!!!」
え、何、そのラストスパートでした、みたいな声。悪魔は枕に顔を埋めてぴくぴくと腰を揺らしている。別に男とするような嗜好はなかった筈なのだが、中々面白い。こんなに反応されるとかえって止めたくなくなる。
「………悪魔君さ、こんなに感じるの、私だから?」
「そっ…だよ…子孫…だからッ…ひぁうっ」
「ふーん…ねえ、悪魔君」
「バーン…て名前があんだよっ…」
「そう、バーン、…私としてみない?」
「……は…?」
「いや、…私の行動にこんなに反応してくれる奴は初めてだからね。楽しそうじゃないか」
「やっ…そん、な…ことしたらッ…俺が…」
そりゃそうだ。触って感じてるくらいなのだから、そんなことしたらひとたまりも無いだろう。バーンは必死に私から逃れようと、ベッドからおりようとしている。翼も使えない、私の力の所為で走ることも出来ない。…不自由そうだ。強引に引き寄せ、俯かせて上に乗る。耳元で囁くと肩がびくびくと震えた。
「逃げられると、思ってるんだ」
「やめっ…!無理、やだっあんっや…っあ…!」
「こんなことしても、悪魔にだから捕まらないしね。好都合だ」
「おかしくっ…なるぅ…!やだ、はなせっ…ふぁっああああんっ!!!」
余程尻尾が弱いらしく、尻尾に触れると少しばかりの抵抗も直ぐ無くなる。何という役得。生まれて初めて自分の境遇に感謝した。
「……これどうやって脱がすんだろうか…」
「んっ…や…!」
「あっ、チャック?」
「……ふううぅっ…!」
チャックを外す行為にまで感じているのかこの悪魔は。ばっ、と脱がすと乳首がぴく、と動いた。ふぅん、悪魔にもこういうものはあるのか。ぴん、と指で弾くとかつて無いほどにバーンの体が震えた。
「…うあぁっあん…っ!やめ…それ以上っはあ、…っ!」
「…さあ、どうしようかな。人間に悪いことをしようとしていたみたいだし、これくらいされて当然じゃないか?」
「ふうぅっ………」
返す言葉も無いのだろう。どうせ抵抗の出来ない身体だ。思う存分楽しませてもらおうではないか。
性なる夜…我ながら寒い。
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ギリギリ感を出したかったのでこの先は止めました。お正月編に続く。…わけはない。
クリスマス関係無さ過ぎますね。まず遅れましたね。いいんだもう。