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担任に南雲晴矢を連れてこい、と言われたのは二限目の授業が終わってからだった。
何処にいるのかも知らない、と素直に言うと駅の裏の路地にいたのを見た奴がいると担任は答えた。ならお前が行けよと危うく口から零れそうになったが、そこは固く口を結んでお辞儀をして職員室を出た。




「頼りにしてるよ、涼野」







端的に言えば、まじで気持ち悪い。
私は高校の特待生として入学したのだが、その瞬間から教師に期待の眼差しを向けられていたのだ。半ば強制的にクラス委員をさせられ生徒会にも入れられ、疲れ果てていた。もう正直頑張りたくはなかった。一方の私の探している男、もといクラスメイトの南雲晴矢は入学してから一、二回程しか学校に来ていないいわゆる問題児だった。顔もほとんど覚えていない。会ったら思い出すだろうというアバウトな考え方で薄暗い路地を歩いた。こんな危ないところに教師は生徒を押し込むのか。渦巻く反感を今日一日の授業全て無欠席、という素晴らしいメリットの考えに埋めた。




もうこれ以上進んだら白い粉を売り付けられるんじゃないかというところまで来た頃、不意に携帯をいじる目立つ赤い髪の男を見つけた。自分と同じ制服を着ている。ああ、そういえばこんな髪の色だった。私は座り込んで顔の見えないその男に話し掛けた。



「南雲晴矢か?」



「………んん?」



くぐもった声で顔を上げた南雲は、割と可愛い感じの顔をしていた。しかしくぐもった声を出した原因は口にくわえた何かだ。そして少ししてから私は口にくわえているものが何なのか気付いた。
使用済みの、ゴムだ。




「…………っ」



汚い。言葉がおかしいが全身全霊で体が拒否をした。そんな私に気付いていないのか、彼は呑気にくわえていたものを横に捨てて話し掛けてきた。



「あー…あんた見たことあるかも。あれ、委員会決めるとき仕切ってた奴」


「…そして頑なに何の委員会にも入りたくないと拒んだな、君は」


「放課後集会やるとか、かったるくて出てられねーっつの」



ぼりぼりと頭を掻いてから南雲はじっとこちらを見つめてきた。上目遣い。長い下まつ毛だな、と見返していると南雲は口を開いた。



「あんたヤりに来たわけ」


「……………はぁ?」


「てか、こんな所に俺に会いに来たってことはそれしか無いだろ。」


「違う、私は担任に君を呼んでこいって言われただけで………」


「あのさぁ…あんた教師の言いなりで満足してるのか?やめよーぜそういうの。めんどくせー」



そう言って南雲はよっこらしょと立ち上がった。そしてにやりといやらしく笑うと、私にキスをした。こんなところで、男と男が。頭がおかしくなりそうだ。



「心配すんなよ、客とキスしたことはねーから」


「だ、だからって、何故私と」


「……んー、何か、あんたのこと気に入っちゃったから?」



そしてまたキスをするとそのままネクタイを外しにかかった。それは、まずい。私は口を離すとネクタイを引っ張った。自然南雲が倒れこんでくる形になる。



「っ……何だよ、俺とヤるの嫌なのかよ」


「何故こんなところでクラスメイトとしなければいけないんだ!」


「え、じゃあラブホとか行けばいいんだな?」


「ちが、………行かないぞ私は!」


「ふぅん…じゃあこれを返さなくてもいいってことか」



そう言って南雲が指に挟んで遊んでいたのは紛れもない、特待生バッチだった。胸元を見ると見事に私のバッチがない。いつの間に………。

南雲はバッチに音を立てて口付けすると、無邪気に笑った。


「終わったらあんたに返すし、金は俺が払うからいいだろ?」



言っていることは全く無邪気じゃなかった。特待生バッチをしていないと教師の生徒への扱いはずっと酷くなる。そのことを知っていてこいつはそう言っているのだ。
なんて意地が悪いんだ。私は歯を食い縛りながら後をついていくしかなかった。
















「んーと…シャワーあるならゴムはいらねえな」



恐ろしい言葉を聞きながら私は布団に座っていた。最悪だ。どうしてこんなことになってしまったんだろう。ラブホに制服で入った時点で止められると思っていたのに、見事に通されてしまった。いつも客と来るから馴染みになってしまったとこいつは言っていた。こんな世界は嫌だ。一つしかない布団をじとっと見つめる。そうこうしているうちに南雲が私を押し倒してきた。待て、まだ、準備が




「無理っ………!」


「今さら何言ってんだよ。別にいいよ何もしなくて。勝手にやるから」



スラックスに素早く手をかけてボクサーパンツごと下ろす。中心で萎えたままの自身を、驚く事にこいつは舐め上げた。


「ひっ………!?」



私が衝撃で固まっている間もこいつは竿を舐めていて、たまに亀頭をぐるりと舐めながら玉を揉む。慣れている、とは分かっていたがなめていたかもしれない。自分でするよりも気持ち良いのだから。



「…………う、」



自身が南雲の口の中に入る。ねっとりとした口内で舌が固さを増した自身を這いずり回る。やばい、すごく、気持ちいい。気持ち良さに目を閉じていると口が自身を離れていった。何なのか、と目を開くと腹にワイシャツだけ申し訳程度に着ている南雲が座っていた。



「そのまま寝てろよ、」



ローションを後孔に塗る音が響く。くちゃくちゃと水音というには何ともいやらしい音に、体が熱くなる。行為が終わったのか、自分の尻穴に私の張り詰めたものがあてがわれる。そしてゆっくりと南雲は腰を下ろした。




「ん、…ぅ…はぁっ…」



思ったよりも進んでいかない。どうやらこいつも辛いようだ。忙しない荒い息、潤んだ瞳、上気した桃色の頬。さっきまでの態度とのギャップに目眩さえ覚える。いつの間にか、私はこいつに夢中になっていた。南雲が切なげに吐息をもらす。




「はぁ…ぁ、う、あ、熱い……」


「…遅い」


「…あ、あんたのがでかいのがいけなっ…うぁあ、っ」



我慢がきかず腰を両手で掴んで思い切り打ち付けた。白い肢体が弓なりにしなる。奥に自身を押し込んだ瞬間きつい締め付けが襲った。目の前がちかちかする。


「…きつ、い」


「うぁっ、あ、あん、あ、あっつい…ぃ、っ」


上下に動く度に自身が搾られる感覚に陥る。腹に何か冷たいものが落ちた、かと思うと南雲は泣いていた。


泣きながら、腰を振っている。あまりの光景に中心が脈打つのを感じた。南雲が悲鳴にも近い嬌声を上げる。



「あああ、っ…ふぁ、ああっ、おれ、…ぇっ…」


「…っは、何、」


「あん、たっ…の…どれい、にだった、らぁっ…なって…もぉ、いい、かも…ぅあっ」



南雲の顔に触れて引き寄せる。と背中まで倒れこんでくるため南雲のナカの更に奥をぐり、と擦った。いいところに当たったらしく堪らなさそうな声を出す。そして体を支え切れなくなったのか、どさりと倒れこんだ。それでもまだ律動を止めない。いい加減快感でどうにかなりそうだ。




「あ、も、やっ…だめ、いき、そうっ…あ、ああっ…!」


「…あ、ちょっと待って」


「ひィんっ…!な、何…?」


無理矢理背中を押さえ付けて律動を止める。南雲はとても苦しそうだ。限界なのだろう。



「奴隷になるなら、イっていいよ」



自分も相当意地が悪いと思った。快感でふるふると震える南雲を眺めながら頬を撫でる。まつ毛が揺れる。



「何でもっ…なる、からっ…イかせてぇ…!」


「上出来だ」



ぱっと背中から手を離すと再び律動が始まった。頭を引き寄せてキスをする。舌を絡めながら快感に打ち震えた。



「ふぁっ…あああ―――っ!!」


「……ん、う…」



唇を離した途端に、内壁が捻れるようにうねってきつく締まる。その締まりに耐えられるはずもなく、温かな肉壁に熱い熱を叩きつけた。どくどくと注がれるそれを南雲は気持ち良さそうに受けとめる。涎が首元を濡らした。



「……ふあ、ぁ」


南雲はいまだ痙攣していて、腰を触ると目を瞑って耐えていた。撫でるとしゃくり上げる。



「やめ、ろって…」


「だって君、奴隷でしょ?」


「ううぅ………」



言い返せないのか南雲はしゃくり上げたままだった。腰を掴み一気に上げるとつぷんと自身を包んでいた温かさが抜けていく。びっくりしたのは南雲の様で、尻穴から滴る私の精液を布団に零さないように必死に締めていた。


「いきなりっ…あんた…サドだろ!」


「君は天然マゾっぽいよ」


「どうせ、奴隷だからな」


「じゃあ一緒にシャワー浴びようか、南雲」


「…………んぅ、」



体を起こしてキスをすると南雲はまんざらでもなさそうな表情をした。ああ、ハマりそうだ。


シャワー浴びているときに、売春をやめるように言おう。
そのときの私は、すっかり担任に言われたことを忘れていた。恋は盲目、とはこんなことを言うのだろうか。ちょっと違う気がする。





















相変わらずえろいのが苦手です書けない





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