閉幕


 数日後。

 帰った早々ディノールは両親に一人旅を宣言して、反省部屋に閉じ込められた。
 なんで〜だの、どうして〜だの、まさに子供がわがままを通そうとダダをこねているような単語が、延々繰り返されている。


 護衛対象が閉じ込められた、その日。
 ルアは、仲間から受け取った包みを前に、開く決心がつかず立ち尽くしていた。

 アルディアが、挨拶に来た。

 そう切り出して、驚くルアに包みが投げられた。
 アルディアが、勝手を言うお詫びにと、ルアに渡すよう置いていったのだと。
 無意識に奥歯を噛み締めて、ゆっくりそれを開く。
 中に入っていたのは、アルディアが愛用していたマント。
「……んだよ、これ」
 その一枚が。
 もうこれは必要がなくなったと、これからはギルドのマントを着用するのだと主張しているようで。
 言いようのない感情に、両手で机を叩いた。




 そして半年後。

 契約が切れると同時に、ルアは旅立った。
 アルディアにマントを突き返すために。
 ふざけるなと、一喝するために。

 その一年後。

 ディノールもまた、旅に出た。
 友達に会うために。
 約束を守るために。



 ――大切な『何か』を取り戻すために。

 彼らの行く末に待つ『答え』は、誰も知らない。




- 39 -


[*前] | [次#]
ページ:






感想掲示板
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -