閉幕
数日後。
帰った早々ディノールは両親に一人旅を宣言して、反省部屋に閉じ込められた。
なんで〜だの、どうして〜だの、まさに子供がわがままを通そうとダダをこねているような単語が、延々繰り返されている。
護衛対象が閉じ込められた、その日。
ルアは、仲間から受け取った包みを前に、開く決心がつかず立ち尽くしていた。
アルディアが、挨拶に来た。
そう切り出して、驚くルアに包みが投げられた。
アルディアが、勝手を言うお詫びにと、ルアに渡すよう置いていったのだと。
無意識に奥歯を噛み締めて、ゆっくりそれを開く。
中に入っていたのは、アルディアが愛用していたマント。
「……んだよ、これ」
その一枚が。
もうこれは必要がなくなったと、これからはギルドのマントを着用するのだと主張しているようで。
言いようのない感情に、両手で机を叩いた。
そして半年後。
契約が切れると同時に、ルアは旅立った。
アルディアにマントを突き返すために。
ふざけるなと、一喝するために。
その一年後。
ディノールもまた、旅に出た。
友達に会うために。
約束を守るために。
――大切な『何か』を取り戻すために。
彼らの行く末に待つ『答え』は、誰も知らない。
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