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 手が、砂をかく。
 アルディアをギルドに奪われた悔しさで、目の前が暗く翳る。
 やがてそれは怒りに変わり、視界は赤い幻影を見た。
 胸の奥に湧き上がる、憎しみ。
 ギルドに向けられたものなのか、不甲斐ない自分に向けられたものなのか。
 ぎり……と噛み締めた唇の端に、血が滲んだ。


「ルア!」


 その、声が。
 何故、今聞こえるのかということよりも。
 一瞬にして、自分の中の暗い感情を祓ったことに驚いた。
 視線だけを動かすと、必死な顔で駆け寄ってくる、見慣れた小さな少年。

「なに……してる……」

 呟いて。
 ルアは急速に意識を手放した。





 倒れたルアを揺さぶって、ディノールは声をかけ続けた。

 自分が治癒魔法を使えることも。
 身分を利用して助けてもらうということも。
 なにもかもが頭の中から消えていた。

 もう一人の護衛者がどこに行ったのかも、触れているこの身体が動き出すまで、どうでもいいと思った。








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