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衝撃に倒れたのは、同時だった。
体中の痛みに耐えながら目を開けると、ギルドの監視員が身につける長衣が視界に入った。
「魔法は……使ってないぞ……」
唸るように、ルアが文句を言う。
アルディアは意識がないのか、全く動かない。
「愚かな。こんなところで同士討ちなど。依り代はどうしたのだ」
低い声が、頭上から降ってくる。
その台詞でルアは、彼らが依り代を探している魔法使いたちだと知った。
監視員になるとは、考えたものだ。
祭りの最中を歩いていても、不審には思われない。
さらに、この集団があの『ギルド』の手下であることもわかった。
ルアとアルディアが依り代を探しているのを知っているのは、「依頼」をしたあの男だけだからだ。
自分たちに協力するように言われてきたのか。
単に行く先に自分たちがいたのか……。
どちらでもいい、とルアは思考を自ら遮った。
早く起き上がって、剣を……!
彼らを、依り代に近づけてはいけない。
身体に力が入ったルアに気づいたのか、側にいた一人が呪文を唱える。
『 縛 』
どれだけ力を込めても動かなくなった身体に、ルアは内心舌打ちをした。
これでは、アルディアの様子を見に行くこともできない。
「どうするのだ?」
「金髪は連れてくるようにとのお言葉だ。お前たち、こいつを連れて戻れ」
気配が動く。
連中が、アルディアの身体に手をかけ。
意識を失った状態のまま、かつての仲間が遠ざかっていった。
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