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 走り続けて。


 どこまで行けばいいのかも、わからないけれど。






 ルアとアルディアから逃げるように走って、町外れ。
 息の切れた三人が、崩れるように膝をついた。

「駄目だ、もう、走れん……」
「……あの、二人は……?」

 サジルは倒れ込み、タナンは膝に手を置いて、呼吸を整える。
 手を引いて走っていた少年は、息はあがっているが、さほど疲れたようでもない。
 心配そうに、来た方を見つめていた。

「……ルアは、多分僕と同じ気持ちになったんだね。依り代を、なくせるならなくすべきだと思ってくれた」
「でも、あのお兄さんは……」
「うん。アルディアはアルディアで、事情があってタナンを引き渡さなきゃいけなかった。それで、きっと今頃……」
「……お前さんの護衛なんだろう?その……いいのか、放っておいて」
 サジルの遠慮がちな言葉に、ディノールは大人びた笑みを返した。

「自分自身の道を貫こうとしている人の、邪魔をしてはいけない。ぶつかり合うことを、怖れてはいけない」

「……なんだ、それ」
「小さい頃に、お父様に言われた」
 今も充分小さいが?という突っ込みを飲み込んで、サジルはため息をついた。
「難儀なことだ」
「まったくね」
 いつになく真面目な表情で返して、ディノールは「行こう」と二人を促す。
 しかし、タナンは動かない。
「タナン?」
「ねぇ、ディノール。ぼくは――」
 タナンが言いさした、その時。


 轟音が、地面を揺らした。





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