14




「神の依り代を探せと言ったって……」
 通りを歩きながら、ルアは小声で文句を言い続けていた。

 あのお気楽坊ちゃんを探していただけだったのに、何故こんなに話が大きくなったのか。

「悪いな、ルア。変な話になったな」
「いや……俺が聞き出したようなものだし……。それより、依り代が本当にいたことにも驚きだが、まだ奴らは諦めていなかったのか?」

 神職者は、神の声を聞くために必死である。
 小さな子供を、一切外界と触れさせず、神域と言われる場所に閉じ込める。
 外界に触れたら神が降りられなくなる、これは重要な儀式である、と彼らは言うが、それは監禁と何が違うのか。
 ルアには違いが全くわからない。

 幼い頃から閉じ込められた彼らの精神は、次第に病んでいき物事を考えることを放棄する。
 その状態が、依り代に必要な状態だと、いい歳をした大人が口をそろえて言うのだ。
 気色悪いにも程がある。
 自分がやればいいのだ。
 大人だろが子供だろうが、長期間監禁されれば同じような状態になる。
 ルアは他力本願な神職者が、昔から嫌いだった。

「お前には信じられないことかもしれないが、あれはまだ続くだろうよ。どこかで何かが起きれば、あるいは変わるかもしれないが」
「何かって」
「そうだな……今回みたいに、依り代が自らの意思で逃げ出すとか」
「ふ〜ん。そういうことをした奴もいなかったのか」
「いないさ。しようとも思わない。いや、思えないんだな」
 苦笑する様子のアルディアに、ルアが何かを言いかけたその時。

「よ〜し、次はご飯を食べに行こう!」

 能天気な声が、通りの向こう側から聞こえてきた。


- 23 -


[*前] | [次#]
ページ:






感想掲示板
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -