「今回はありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。友好な関係を築いていきましょう」 黒い帽子とゴーグル型のサングラスをつけ、テオは笑う。横に立つ祐未はふてくされたまま腕の包帯を見つめていた。傷の具合は全治二週間といったところか。 「ええ……では、また」 教師陣が曖昧な表情でテオと祐未を見送る。彼らは多分、模擬戦を提案したテオ達の目的が解らずに不安なのだろう。教えてやる義理もないと思っていたから、テオはそれを放置した。 「……それでは、また」 笑顔で挨拶するテオに、閉鎖学園の教師達は曖昧な笑みを浮かべる。 特異点が二つ存在するブラックホール解を用いてパラレルワールドを行き来する装置を作り出したテオだったが、パラレルワールドを行き来する際、自分達とは違う技術や知識を持ち、生活している世界がある事を知った。高確率で『魔法』と呼称されるそれの原理は世界によって様々であり、それは時に人間の体内にあるなんらかのエネルギーを体外に放出する技術の名であったり、特殊な世界構造に依存した技術の名前であったりする。訪れた世界にそのような技術があった場合、自分達の世界で応用できる可能性を調べるため情報を収集するのが、テオと祐未の目的だ。今回収集したデータでは、この世界における技術は体内のエネルギーを外に放出するタイプと、特殊な世界構造に依存するタイプ両方の特徴を有している事が解った。もう少し調べていけば、この特殊な世界構造に依存するタイプのものも、なんらかの装置で擬似的空間を作りだし自分達の世界で流用することができるかもしれない。 ――もっとあらゆる状況におけるサンプルを入手しないと。 全ての知識欲を腹の内に押さえ込み、テオはこっそり笑みを浮かべる。次はどんな所につくだろうかと考え、顔をあげ――祐未に恨みがましい目でみられたが、それは気分が良いので綺麗に無視してみせたのだった。 ------ 同盟にて都神ナナエ様にコラボ小説を書いていただけました。 D×Sから奈月、李真、冬馬と都神ナナエ様宅テオさんと祐未さんのコラボです。 読み応え抜群の内容、一つ一つの言葉や文章が洗練されていて終始感激していました。場面場面が脳内で自然にイメージ再生されます……! それぞれの個性が現わされていて、なおかつ生き生きとして大変美味しかったです……! 奈月や、李真&冬馬の説明描写が的確過ぎて感動と興奮の嵐でした。 この度は書いて下さり有難うございます。 |