零の旋律 | ナノ
昏様から「境界の黒」



※BL注意


境界の黒


 冬馬が聞いた切欠は簡単な一言だった。
「そろそろ限界」
 直後一瞬にして詰まる距離。眼前にいつも隣で見慣れた顔を認め、そこで断線した。


 意識が戻るとそこはまだ闇の中だった。起きているのだと頭が認識するのには違和感を生じさせる暗がり。それはどうやら意図的に視界を奪うための何かによるらしい。
 おまけに上手く身動ぎをすることもできない。意識を手放す前に見たものと現在を結びつけるとその理由は、
「起きたか? 冬馬」
 予想通り、そいつだ。
 上から降る声に対し悩みながらも問いかける。
「どういうことだ」
「大体見当はついてんだろ? お前は俺に、捕まったんだよ」
 楽しそうな声色。肌がかすかに粟立つ。
「逆らうのか、俺に?」
「はは、逆らうも何もお前に従う義務ねえよ。……ほら、ちゃんとこうやってそばにいるだろ?」
 頬にさわりと触れられる感触。混乱と焦燥のようなものが胸の内に過るのを抑える。
「俺はな、お前のものだという自覚がある」
 李真は言った。指先がするする降りていく。
「それには満足してるよ。でもなあ、お前はどうだ?」
 顎を掴まれ恐らくは李真の顔がある方へ固定される。
「お前は俺の物じゃねえみたいだよな。いつも女とべたべたして、その癖俺は黙っていい子ちゃんして傍にいろってか」
「っ何が、言いたい?」
「分からないか?」
 放され、次に触れられた喉に閉塞感。不意を突かれ断たされる空気に唇がだらしなく開く。
「俺はお前が好きだから。お前がきちんと俺のものになるようにしてやろうかと思ったんだよ」
「っ、……!」
「嫌なら許さなくていい。やめねえから」
 唐突に解放され勢いよく咽ると、上で李真が笑っている声がした。



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同盟にてヤンデレで書いて頂けました…!
以前「単純に戯れ」で二人を書いて頂いた時からまた二人のが見たい…!と密かに思っていまして、李真×冬馬でお願いした所、素敵過ぎる内容に一人悶えていました。監禁ネタ好きです…!特に最後の言葉が好きです!!李真のサド具合とかも凄く良く表れていて口元がにやけていました^^

この度は小説を書いて下さり有難うございます。


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