* 「ん………」 (……なんだ…夢か…) 俺が目を覚ましたのはいつもと少しも変わらない部屋の中だった。 なんともおかしな夢をみてしまったものだと、ベッドの中で俺は一人苦笑する。 * * * 「いかにもパン好きの篝火らしい夢だな。」 「確かに俺はパン好きだけど、こんなおかしな夢を見たのは初めてだぞ。」 「それで…パンの家に行ってどうしたんだ?」 「あ…あぁ… パンの家に行ったら、そこにいた魔物っていうのがおまえだったんだ。」 「なんだ、そりゃ…」 「夢なんだから仕方ないだろ! それにしても、酷かったぞ。 部屋の中は散らかり放題で、まさにゴミ部屋。 しかもおまえはそんな不潔な部屋の中でベッドを千切って食べて見せるんだ。 ここだったら、腹がすいてもこうやってすぐにパンを食べることが出来て楽だってな。」 「いかれた夢見てんじゃねぇぞ。 ……それで、どうした?」 「それで……って…… それで、おわりだ。 そんな不潔なもの食べちゃいけないっておまえを叱ってたら目が覚めた。」 朔夜はそれを聞いて小さく舌を打った。 「オチもないのかよ。 つまんねぇ夢見てんじゃねぇ。 ……そんなことより、早く飯の支度をしてくれ。」 「あぁ……わかったよ。」 俺は立ちあがり、台所へ向かった。 夢の最後の部分は言わぬが花。 いくら夢の話だといっても、本当のことを話したらあいつはきっと怒るだろうから… 俺は、朔夜に気付かれないように小さく肩を震わせた。 〜fin ------ ルカ様に小説を書いていただけました……! 楽しく読ませて頂きました!篝火のパン好き具合がとてもよく表れていて、パンの為なら面倒事も引き受ける篝火! 楽しい内容に思わず笑っていました^^ そして朔夜がひじょうに朔夜らしい……!もうめんどくさがりがよく表れててこれぞ朔夜と一人読みながら思ってました。 この度は小説を書いて下さり有難うございます。 |