* 「おぉ……」 「魔物はこの通りやっつけた。 約束のものをいただこうか。」 俺は意識を失った朔夜を肩に担ぎ、パンの妖精に声をかけた。 「あ、ありがとうございました! 本当にありがとうございました!」 パンの妖精は俺に向かって何度も頭を下げ、涙を流して礼を述べた。 パンの木々の隙間からは、小さな顔がいくつかその様子をのぞいていて、ほっとしたような表情を浮かべていた。 きっと、パンの妖精の子供達だろう。 そんなことよりも、パンの種をもらわなくてはいけない。 だが、俺はまだどのパンの種をもらうか決めていなかった。 (どうしよう… 何を選べば良いんだろう? 決められない…決められないぞ…) 俺は、パン選びに頭を悩ませる… |