零の旋律 | ナノ
雛罌粟様から「一時の茶会」



「太るぞ?」


パンを口いっぱいに頬張る篝火の向かいに座り、頬杖をついて呟いた陽向 拓満。

篝火は6つめのパンを頬張ろうとする手前で停止した。
それもつかの間、すぐに頬張り始める。

拓満ははぁ、とため息をつくと「聞けよ」と呟いた。


「拓満が食べていいって言ったんだろ?」

「いや…うん、まぁそうなんだけどさ」


だからって食べ過ぎだろ、なんて自分が食べてもいいと言った手前、言えるはずもなくその言葉を飲み込んだ。


「美味いな。このパン」

「そりゃ俺の手作りだし」

「嘘だろ」

「いやいや、なんでそんな全力で否定すんだよ」


拓満の手作り、と言った瞬間即座に反応した篝火。
パンを入れていた籠にはまだいくつかのパンがあり、篝火はそれを手に取る。


「店で買うような味だし」

「店で買っても人が作ってるじゃねーか」

「拓満不器用そうだし」

「ぜってーそっちが本音だろ!」


二つ目の理由に食いつく拓満。
心外だ、とでも言わんばかりに不機嫌になる。疑いをかけるも篝火は食べる事をやめない。


「信じろよ…」

「はいはい、信じて差し上げます、差し上げます」

「馬鹿にしてんのか、てめぇ…」

「まさか」


そう話してる間にも籠のパンは異常な勢いで篝火の胃袋に吸い込まれる。
拓満もパンに手を伸ばし、パンをとる。

一口サイズに千切ると口に放り込む。


「なんでわざわざ千切るんだ?」

「ん?あー…癖っつーか、なんつーか。家でそうしろって言われてたから」


へー、とさも興味なさそうに返事をするとパンにかぶりつく。
聞けよ、と同じ言葉での二回目のツッコミを入れる。


「女々しい」

「女々しい言うな!!」

「パンはかぶりつけ」


仕方がない、とでも言うように返事を返した篝火は女々しいと言った。
それにもやっぱり食いつく拓満。
喧嘩っ早いというよりただ短気なだけらしい。


「なぁ、」

「あ?」


パンを飲み込み終わると篝火は拓満に言葉をかけた。


「今度作り方教えてもらっていいか?」

「別にいいぞ」


拓満の了承の言葉を得るとまたパンを食べ始める篝火。


「ホント好きだな」

「拓満も好きだけどな」

「!?」


パンうまいし、と後につなげると「あ、そっち…」と拓満は心の中で項垂れた。




------

同盟にて雛罌粟様が、篝火と拓満さん(雛罌粟様宅)のコラボ小説を書いて下さいました!篝火はパンにかぶりついて食べるだろうなぁという設定が密かにあったので、雛罌粟様の書いて下さった篝火がパンに!とドキドキです←
篝火のパン好きは際限なしですね^^拓満さんと篝火の素敵コラボに何度何度もも繰り返し拝読します^^

この度は小説を書いて下さり有難うございます。


- 58 -


[*前] | [次#]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -