零の旋律 | ナノ
昏様から「錆びた愛色」



昏様宅のアルミニウムさん×奈月(別創作)のCPコラボです。
※BLかNLです。






 愛するという行為を具現化するとしたら何になるかは、個々人によって変わるものだろう。だったらたとえば、俺ならコレだ。大好きだから、だったら。

「飽きちゃったぁ」
 マグカップでブラックコーヒーを傾けつつ、俺は笑顔で奈月に言った。ぴくりと反応して俺を見上げる赤い目に、にんまり。
「奈月のことー、もう愛してないかもぉ」
「どういうこと」
 即座に食いつく言葉に笑う。可愛い、可愛い。
「どういうことだよ!」
 ぐわり、瞬間、距離が詰まる。
 胸倉を掴まれて体が傾いだ。マグカップが柔い絨毯に落ちる。びちゃり、ぱりん、ああ欠けちゃった。絨毯の染みは消えるだろうか?
「そのまんまの意味だよお。俺は、もう、おまえに興味ないぃ」
「っざけるな!」
 頬に熱い衝撃が走った。直後、勢いで倒れた体の上に奈月が覆いかぶさる。
「顔はだめだよお、顔はあ」
「僕をずっと愛してるって言ったじゃないか。愛してるって言った。君は言ったよ。嘘だったの? ねえ、僕を愛してないって、裏切るの?」
「さあねぇ」
「嘘吐き!」
 また殴られる。顔はだめだって言ったのに。
「裏切るならいらないよ。そんなのだめだ。僕を愛さないなら君だっていらない。愛してよ。愛してよ。僕は愛してるから、だから」
 揺れる瞳には様々な感情が入り混じっていて、狂いそうないろがきれいだと思った。銀色の光が揺らぐ。
「ころしてやる」
 狂気色の微笑みで、ナイフを俺の喉元へ振り下ろす。流石にここを切られたら死ぬなあと思い、俺は片手で刃を受け止めた。
 ぼたぼた、血液が顔まで垂れる。
「ざあんねん、殺されてあーげなあい」
「なっ……!?」
 刃を握り、空いた手で奈月の手を強く握りしめる。痛みにゆるんだ握力をつき、血の滴るナイフを遠くへ放り投げた。
「痛くないんだよねえ、まあいっぱい血が出たら死ぬけどお」
「何、お前」
「嘘だよ奈月」
 不意のことに静止した体を、思い切り押して体勢を反転する。華奢な体を押し倒した。
「俺はあ、ちゃあんとおまえが好き」
「……?」
「遊びたかったんだよお」
 血の滴る手で頬をなぞると、俺の赤で奈月の白い肌が汚れた。驚愕と少しの恐怖に染まった目。だいすきだいすきだいすきと呟く。
「こんな可愛い子、手放すわけないでしょお?」
「っ!?」
 たどる指が首筋まで達した時、一瞬で両手を細い首に巻きつけた。ゆるく強く圧迫する。呼吸の苦しさに歪む顔。薄く瞳に張る涙が輝いて、愛しい、と、思う。
「もっとずっと、愛してあげる」
 それは俺の愛し方で、決してやさしくはないけれど。
「こんなふうに、ずうっとねえ?」
 力の抜けた肢体を抱き、すべらかな髪を梳く。眠るように意識を手放した奈月を、俺は笑って見下ろした。



錆びた愛色






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同盟にて、昏様宅のアルミニウムさんとうちの奈月のCPコラボを書いていただきました!!昏様の書かれる狂気とヤンデレ大好きです!!!!
二人のやり取りとか、アルミニウムさんの言動の一つ一つがツボすぎます、大好きです←
最初拝読してからすぐに何度も読み返してしまいました!余韻に浸ってます^^

この度は小説を書いて下さり有難うございます。


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