「…………」 彼がここにいきなり現れて何日たっただろう。 有斗は用意した部屋で眠り、起きる気配のない彼、…朔夜を見つめそう思う。 学園の行事で泊まる部屋を用意している時、朔夜は現れた。 天井辺りが光ったかと思えば光につつまれた朔夜が姿を現したのだ。 驚いたものの、基本的に焦りはしない有斗は朔夜に色々と問い、結論を出した。 どうやらここは朔夜のいた世界ではないらしい。 信じられない、と思うもののいきなり現れたという事実とは辻褄が合うため信じるより他ない。 気配を消してスッと音もなく近寄る。 ベッドに横たわる朔夜の顔は女性も顔負けするほど整っていた。 自分の周りにも顔が整っている人ならばいくらでもいるが、またそれらとは別格に見えた。 ベッドに腰掛けると左手で右頬をなでる。 何やってるのだろう。相手も自分も男なのに。 周りにいる人物たちのせいで世の中と常識から外れてしまったか。 自嘲の笑みを浮かべる。その瞬間朔夜が身じろぎをしたため、元のほわほわした笑顔に戻す。 自分たちは他の部屋で寝泊まりしているし、特に影響もないのでこのまま寝かしておいてもいいのだがそれでは自分が面白くない。 「朔夜さん、朝なんで起きてください」 「んっ………」 いつもは使われる立場の敬語を使い、朔夜を起こす。 しかしなかなか起きない。 低血圧とはこんなものだったか、と自分と同じ位の座に着き、朔夜と同じ低血圧の『秋王』を思い出す。 「朔夜さん、」 「うる、っさい…」 うるさい、と切り捨てられてどうしようか迷う。 このまま力づくで起こすものか……。 別にそれもいいが自分は特別腕っ節は強くない、と思い直しやめた。術でも使われたらたまったもんじゃない。 「朔夜さん、朝ですよ?」 「っ………」 珍しく観念したように目をあける朔夜。 それに安著して強気に出て良かった、と思う有斗。 「おはようございます」 「…………」 さすが低血圧、機嫌が悪い。 朔夜は時計に目を向けると眉間にしわを寄せる。 「どうかしました?」 「俺が朝に弱いって知ってるよな?」 「はい、もちろんです」 「なんでこんな時間に起こすんだよ」 有斗が時計に目をやるとちょうど午前5時を差した所だった。 「あぁ…早いですね」 「とぼけんな」 「とぼけてないですよ。…だって、6時からは学園側スケジュールに沿らないとダメなんですよ」 「別に俺には関係ねぇし」 「ありますよ、せっかく貴方がいるんですから貴方との時間もほしいじゃないですか。それに…」 「んだよ」 一旦区切ると同じ位の『四季王』にも支配下の『十二月』にも見せたことないくらい、そしていつもとは違う笑みで 「低血圧さんの寝起きって支配欲そそりません?」 とさらりと言ってのけた。 「絶対ドSって言われるだろ」 「そんなことないですよー?」 いつも通りのふわりとした笑みに戻るといつもの雰囲気に戻る。 「ちょっとした支配欲。唯、それだけです。」 そう言うと朔夜は「意味わかんねぇ」と呟いた。 「わからなくていいですよー」と有斗が微笑みながら言うと「あっそ」と言葉を繋いだ。 --- 同盟にて雛罌粟様から素敵なコラボ小説を書いて頂きました。 有斗さんと朔夜のコラボです!!有斗さんのさりげないドS具合加減がなんとも素敵ですっ!!朔夜の低血圧っぽりも発揮(←)されていて、ニヤニヤが止まりませんでした^^ この度は小説を書いて下さり有難うございます。 |