第四話:情報屋 その場は榴華の命令によって解散となった。榴華と泉は何か話があるのか、榴華と泉、そして郁は榴華の自宅へと向かっていた。朔夜と篝火も用がなくなり、自宅へと帰宅し睡眠をとった。 朝いつも通り篝火は朝ごはんの支度をして朝起きない朔夜を起こす。もはや日課だ。半年も続けていれば慣れる。朝の不機嫌な朔夜にも。 朔夜の髪の毛は篝火が来てから丁寧に手入れがされるようになり、元々手入れがされなくても質のあった髪の毛はさらに潤いある髪へとなっていた。 昼が近づくころに、インターホンが鳴る音が聞こえる。 「へっ」 朔夜が間の抜けた声を出す。それもそのはず、今まで朔夜の自宅はインターホンはついているが、それを鳴らして入ってくる人物がいなかったため、いつも使われることのなかったインターホンだ。それが今日なっているのだ。榴華はインターホンを鳴らさずにそのまま入ってくるし、篝火も篝火だ。 ただし篝火も朔夜も外出しているときは半年前とは違って家に鍵をかけるようになった関係で二人とも常に自宅の鍵は持ち歩いている。篝火が不用心だと言って持たせたものだった。 今は二人とも家にいる関係上鍵はかかっていない。ドアノブを回せば簡単に入ってくることが出来る。 二人が顔を見合わせて驚いていると、返事がないことに相手は痺れをきらしたのか、ドアが開く音がした。 「入るぞ」 その言葉が聞こえてくる。そして聞き覚えのある声だった。 昨日会ったばかりの相手を早々忘れるはずがない、それも印象がある相手だったのだから、といっても兄の方ではないが。 「一日ぶりだ」 昨日と変らず全身が黒い人物――郁が居間に顔を出す。 「どうして此処がわかった?」 愚問だとわかっていながらも聞かずにはいられない。そういえばと朔夜は思いだす。兄は情報屋だといってたが郁も情報屋なのだろうかと。 「兄貴に聞いたからだ」 「やっぱりな。ってかお前も情報屋なのか?」 「……一応な」 郁から返事が返ってくるまでに間があったが、それを朔夜は突っ込まなかった。 朔夜自身相手に深く踏み込むつもりはないからだ。 [*前] | [次#] TOP |