零の旋律 | ナノ

第一話:血塗られた黒


 断末魔は続く。灰色の闇の中で途切れることなく

「やめろぉぁぁあぉぉおおお」

 続く叫び声

「ふざけんじゃねぇえええ」

 轟く叫び声
 向かった刃は届かない

「ぐははぁあっ」

 そこに悲鳴という合唱を奏でる。断末魔の旋律――
 周囲に真っ赤な血だまりをつくる。
 真っ黒から滴り落ちる血血血血血血の海。
 透き通るような肌に付着するは返り血。
 鮮血が周囲に錯乱していようと、気にしない。
 ただ、氷のように冷たい眼光が、死体を睨んでいるだけ――邪魔はさせない



 罪人の牢獄第一の街。そこでは連日人が殺される事件が起きていた。否、人が殺されるだけなら今までにも何度もあるし、日常茶飯事。この街に正式な法律は存在しない。 罪を犯した人が送られる奈落の地。死の大地。罪人たちが集まる街。様々な名称で呼ばれる罪人の牢獄だが、どれ一つとして真っ当なものはない。この牢獄では人を殺しても、捕まることはない。この街の暗黙のルールにさえ違反しなければ。
 そして殺しても殺されても何も言えない。
 報復されることも返り討ちされることも無残に殺されることもこの街では日常的。
此処は罪人の牢獄、何人も罪を犯した人のいきつく果て


 第一の街の支配者――榴華(りゅうか)は大量に殺された罪人たちの死体を眺めながら、手をあごに当てて思案する。

 ――どうしたものか

 一通り見た後榴華はとある場所に向かって歩き出した。


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